9/10 勉強会

文献抄読

担当:椿

論文

Kirilina E et al, The physiological origin of task-evoked systemic artefacts in functional near infrared spectroscopy. NeuroImage 61 (2012) 70-81.

近赤外分光法におけるタスクに誘発されるアーチファクトの生理学的起源

要旨

  • 背景:fNIRSは頭皮の血行動態変動に対し感度が高く,課題に誘発される変化も同様である.それらを分離する方法は様々あるが,統計学的手法では課題に誘発される変化に弱い
  • 目的:表層のfNIRS信号に影響する要因を探索し,皮質の信号を分ける方法を示すことを目的とした.
  • 方法:健常成人15名を対象に,持続処理課題中の活動をfMRI,fNIRSを用いて計測すると同時に,生理学的指標の変化も測定した.
  • 結果:課題によって誘発された生理学的変化が,頭皮の静脈の流れを変化させた.課題に誘発されるアーチファクトの影響は酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)濃度変化で主に観察された.GLM analysisによって
  • 考察:交感神経の活動亢進によってもたらされる変化が頭皮静脈血液量を低下させ,これがOxy-Hb の減少につながったと考えられる.fNIRSのGLM analysisに皮膚のアーチファクトを含めることで,頭蓋外の信号を除くことができる可能性がある.

担当;宮口

論文

Chiara C et al.Transcranial direct current stimulation modulates motor responses evoked by repetitive transcranial magnetic stimulation.Neuroscience Letters 522 (2012) 167‐171.

経頭蓋直流電流刺激が反復経頭蓋磁気刺激により誘発された運動反応を調節する

要旨

  • 背景:rTMSとtDCSは非侵襲的に皮質の興奮性の変化を引き起こすことのできる技術である.これら二つの技術の併用が,それぞれの単独介入よりもさらに皮質の興奮性を調節することが可能であるか調べる必要がある.
  • 目的:rTMSとtDCSの間に起こりうる相互作用を理解し,それが極性に依存するかどうかを明らかにすること.
  • 方法:健常成人11名を対象に,5 HzのrTMSをanodal/cathodal tDCS介入前(T0),介入直後(T1),介入後10分後(T2)にRMTの120%の強度で一次運動野上に介入した.
  • 結果:anodal/cathodal tDCSの両条件において,T0におけるrTMSによるMEPの促通が確認された.しかし,anodal tDCS条件では,T1とT2におけるrTMSによるMEPの促通がみられなかった.一方,cathodal tDCS条件ではMEPの促通は温存された.
  • 考察:anodal tDCSにより皮質の興奮性が増大した代償として,皮質脊髄の恒常性のメカニズムが働き,T1とT2におけるrTMSによるMEPの促通が抑制された可能性が考えられる.