8/13 勉強会

研究報告

担当:江玉

研究テーマ:腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法の考案

要旨

  • 目的:下腿三頭筋をアキレス腱の構造を中心に分析し,腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法を考案した.
  • 方法:日本歯科大学新潟生命歯学部に献体された固定遺体(15体25側)を用いた.方法は主に肉眼解剖学的手法を用いた.
  • 結果:アキレス腱は全例で外側方向へのねじれ構造を呈した.ねじれの程度により軽度(12側,48%),中等度(9側,36%),過度(4側,16%)に分類できた.ねじれの程度に関わらず,距腿関節運動軸の垂直線に対して,内側頭のみが内側に傾斜していた.
  • 考察:膝関節伸展・足関節背屈に下腿内旋・足関節内反を加えることで腓腹筋内側頭を効果的・選択的にストレッチングできる可能性が示唆された.

文献抄読

担当:髙橋

論文:Robert H. Brophy et al, Effect of Short-Duration Low-Magnitude Cyclic Loading Versus Immobilization on Tendon-Bone Healing After ACL Reconstruction in a Rat Model. THE JOURNAL OF BONE AND JOINT SURGERY. 2011;93-A:381-393.

要旨

  • 背景:腱や靭帯などの再建術後にメカニカルストレスが骨-腱・靭帯付着部の治癒に影響を与えることはわかっているが,それに対する負荷量や頻度について比較検討した検証は少ない.
  • 目的:術直後における,軸方向への低負荷・短時間のメカニカルストレスがACLに与える影響を検証する.
  • 方法:Sprague-Dawley ratsの雄72匹に対し,長母指屈筋腱を用いてACL再建術をおこなった.不活動群(2w)・不活動群(4w)・負荷群(2w)・負荷群(4w)に分け,負荷群は0.24mm/secで一定の伸長が得られるまで引っ張った.それを50回/日,麻酔下にておこなった.各群間において,骨‐靭帯付着部の組織学的分析(炎症反応,血管新生,破骨細胞,骨芽細胞),Micro-CT分析(付着部の骨量,ミネラル含有量,ミネラル密度,骨粱の暑さ,骨粱の数,骨粱間隔),ACLの剛性と破断強度について比較検討をおこなった.
  • 結果:負荷群(2w)は不活動群(2w)に比べ,ED1+マクロファージが有意に増加した.その他の組織学的分析として,血管新生,破骨細胞,骨芽細胞などでは各群間の有意な差は認められなかった.また,Micro-CTにおいて各群間に有意な差は認められなかったが, time zero(術直後)に対して負荷群(4w)は骨粱の数が有意に低下していた.剛性・破断強度に関しても,各群間に有意な差は認められなかった.
  • 考察:再建術後の短時間で低負荷なメカニカルストレスは,その治癒過程において有害となるほどの大きな影響を及ぼさないが,術後早期の負荷は炎症反応を強くし,Micro-CT分析より骨‐腱・靭帯付着部に悪影響を及ぼすことが示唆された.今後は負荷量・頻度・時間・時期など種々の条件において研究重ねていくことで,再建術後リハビリテーションのプロトコール作成の一助になる.