7/23 勉強会

研究報告

担当;菅原

研究テーマ;視覚誘導性運動課題における運動準備中のヒト運動前野の活動

要旨

  • 目的;本研究では左右運動肢による視覚誘導性運動を行い,運動前野の活動を捉えることを目的とした.
  • 方法;被験者は右利き健常成人男性10名(22.7±2.9歳)とし,実験の概要を説明し同意を得た.運動課題は視覚刺激を使用した予告刺激(S1)と運動開始刺激(S2)を組み合わせたS1-S2課題を用いた.S1刺激は視覚刺激を利用した赤丸と緑丸とし,その刺激により左右運動肢を指示した.その後に提示されるS2刺激では単純光刺激を用い,示指伸展運動を行うよう指示した.
  • 結果;10名中8名において運動開始前400ms~200msで運動関連脳磁界上に著明な波形を認め,波形が認められた被験者のうち7名で一次運動野から21.4±3.6mm前方かつ10.4±14.6mm内側に電流発生源が推定された.
  • 結論;視覚誘導性運動課題の運動準備過程において,ヒトの運動前野の活動を捉えることができる可能性が示唆された.

研究報告

担当;岩波

研究テーマ;

運動イメージ能力と鏡像手凝視による皮質脊髄路細胞の興奮性との関連の解明

要旨

  • 背景;現在,Mirror Therapyの効果やその適応基準について定まった知見が得られていない.また,運動観察時や運動イメージ時の皮質脊髄路細胞の興奮性は個人の運動イメージ能力に関連している可能性が指摘されている.
  • 目的;鏡像手注視時の皮質脊髄路の興奮性と運動イメージ能力の関連を解明することを目的とした.
  • 方法;被験者は男性3名(24.6±3.8歳)とした.運動イメージ能力の評価として,イメージの鮮明性はMIQ-RSを用いて,イメージの統御可能性は手のメンタルローテーション課題(HMRT)を用いて評価した.鏡像手注視時の皮質脊髄路細胞の興奮性を評価するためにTMSを用いて運動誘発電位(MEPs)を測定した.
  • 結果;MIQ-RSの平均スコアは88.0であった.HMRTの正答率は95.8%,反応時間は935.1msであった.鏡像手注視時のMEP振幅は2.69mVであり,安静時と比較したMEP ratioは2.90であった.
  • 今後の方針;被験者数を増やし,運動イメージ能力と運動誘発電位の関係性を明らかにしていく.