4/9 勉強会

研究報告

担当:山代

研究テーマ:刺激部位の変化量がSIおよびPPCの活動の大きさに与える影響

要旨

  • 背景:様々な刺激を用いて聴覚・視覚領域でMismatch magnetic fields (MMF)の研究が行われている.しかしながら,体性感覚領域でのMMFの研究は非常に乏しい.さらに,Somatosensory evoked magnetic fields (SEFs)の各成分の役割については不明な点が多い.本研究では,オドボール課題を用いて,刺激から100ms付近に現れる活動について検討することを目的とした.
  • 方法:被験者は8名.刺激にはリング電極を用い,標準刺激と逸脱刺激を8対2の割合で提示した.条件1は親指と示指(逸脱小),条件2は小指と示指(逸脱中),条件3は足指と示指(逸脱大)とした.それぞれの示指刺激によって記録される波形を比較した.
  • 結果:刺激から約100ms後に誘発されるM100は逸脱小<逸脱中<逸脱大の順に大きくなった.また,その活動はSI・PPC付近のセンサーで大きくなった.
  • 考察:本実験では場所の逸脱が大きくなるほどSI・PPC付近のM100活動が大きくなることが示された.このことからSI・PPCが場所の認知に関わっていることが示唆された.

 

文献抄読

担当:菅原

論文:Lilian Chye, Ken Nosaka, Lynda Murray, et al.: Corticomotor exitability of wrist flexor and extensor muscles during active and passive movement. Human Movement Science 29 (2010) 494-501.

要旨

  • 背景:自動運動,他動運動時には絶えず皮質脊髄路の興奮性が調整されている.過去の研究報告において他動運動時の皮質脊髄路の興奮性を調査した研究があるが,一致した見解が得られていない.本研究では,手関節の他動運動時および自動運動時の前腕筋群のMEPを調査することを目的とした.
  • 方法:被験者17名で安静座位を取り,手関節の屈曲/伸展の他動運動時,自動運動時に経頭蓋磁気刺激装置を用い,磁気刺激を左運動野領域上に与えた.
  • 結果:他動運動時では,安静時に比べ前腕屈筋/伸筋ともに筋長が短縮する際にMEPの増大がみられた.また自動運動時においても筋長が伸張されるときに比べ,短縮するときのほうがMEPの増大がみられた.
  • 考察:本実験では手関節の屈曲/伸展中間位で磁気刺激を与えているため,他動運動時の皮膚の影響は少ないと考えられるが,それ以外のゴルジ腱器官・筋紡錘の影響により,皮質運動野の興奮性に影響を与えたと考えられる.