2/13 勉強会

研究報告

担当:小島

研究テーマ:筋収縮強度が二連発磁気刺激による抑制および促通に及ぼす影響

  • 背景:二連発磁気刺激によってMEP振幅が抑制または促通されることが報告されているが,筋収縮による変化を報告したものは少ない.また,二連発磁気刺激とCSPの関係については不明である.本研究では,筋収縮強度が二連発磁気刺激によるMEP,CSPに及ぼす影響について検討した.
  • 方法:健常男性11名を対象に,安静時,10%,30%,50%筋収縮中に二連発磁気刺激を行った.二連発磁気刺激強度は,条件刺激を軽度筋収縮時運動閾値0.8倍,試験刺激を安静時に1mVのMEPを誘発する強度とした.刺激間隔は0ms(single),3ms(SICI),10ms(ICF)とした.
  • 結果:MEP振幅は,10%,30%EMG時に安静時同様singleに比べてSICIでは有意に低下し,ICFでは有意に増加した.一方50%EMG時では,SICIでは有意に低下したものの,ICFでは有意な差は認められなかった.CSPは,すべての筋収縮強度においてSICIでは有意に短縮するものの,ICFでは有意な差は認められなかった.
  • 考察:単発刺激を用いた研究では,収縮強度の増加に伴ったMEP振幅値の増大が50%MVCまで認められるものの,それ以上の収縮強度で変化は認められなかったと報告されている.本研究において10%,30%MVC時に比べ 50%MVC時では,筋収縮により多くの運動単位が動員されており皮質脊髄路の興奮性が高い状態のため二連発磁気刺激による促通が起こらなかったと考えられる.CSPに関しては,SICIの作用機序が皮質レベルであるのに対して,ICFは脊髄レベルであるとされている.本研究では,SICIでの刺激が皮質内のCSP生成に関与する細胞を抑制したためCSPが短縮したと考えられる.