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研究報告
担当:桐本
研究テーマ:経頭蓋直流電流陽極刺激が同側及び対側半球一次運動野の興奮性に及ぼす影響
要旨:
- 背景:陽極経頭蓋直流電流陽極刺激(A_tDCS)により,刺激電極直下の一次運動野(M1)の興奮性が一過性に上昇することは知られているが,この刺激が脳梁を介して対側半球M1の興奮性に影響を及ぼすか否かの見解は一致していない.
- 目的:経頭蓋直流電流陽極刺激が同側及び対側半球一次運動野の興奮性に及ぼす影響を検討した.
- 方法:健常被験者3名の左M1に4×4.5 cm2の電極を設置し,1 mA×20分間のA_tCSを行った.A_tCS前後に左右M1への経頭蓋磁気刺激により第一背側骨間筋(FDI)から導出される対側MEPの振幅の変化を比較した.
- 結果:左M1へのTMSによる対側MEPのみならず,右M1刺激時の対側MEPも振幅の上昇が認められた.
- 考察:先行研究では5×7 cm2と大きなサイズの電極中心をC3上に置くという条件で行われるものが多い.一方本実験では,4×4.5 cm2の電極を使用し,電極中心はFDIのHot-spot上に設置した.先行研究ではM1だけでなくS1を,本実験では同様に背側運動前野を同時に刺激していると推察される.今後は可能な範囲でtDCS時の電極がカバーするエリアを限局し,各条件における対側半球への刺激効果について比較検討する.
文献抄読
担当:小島
題名:Butler JE et al, Origin of the low-level EMG during the silent period following transcranial magnetic stimulation. Clinical Neurophysiology. 2011 Dec 29 [Epub ahead of print]
要旨:
- 目的:SP中に記録されるlow-level EMGの機序は不明である.そこで収縮様式の違いがlow-level EMGに及ぼす影響について検討した.
- 方法:被験者は8名にisometric,shortening,lengtheningの肘関節屈曲運動を行わせ,その際大脳皮質運動野に磁気刺激を行った.SP中のlow-level EMGを算出し比較検討した.
- 結果:low-level EMGは,shortening収縮において他の収縮様式よりlow-level EMGが減少した.
- 考察:SP中のlow-level EMGは筋紡錘活動に伴う,脊髄反射の影響を受けることが考えられ,SPは大脳皮質からの出力だけではなく,脊髄反射の影響も関与することが示唆された.