一般財団法人三友堂病院の笠原一希さん (2023年度理学療法学分野修了)、新潟医療福祉大学の小根山慶汰さん(健康スポーツ学科4年)、伊藤嵩琉さん(健康スポーツ学科4年)、越智元太講師、西九州大学の中村雅俊准教授の研究グループは、激運動による末梢血乳酸濃度上昇からの回復に短時間のフォームローリング介入が有効であることを解明しました。
【研究内容の概要】
アスリートは激しい運動後の疲労からいかに早く回復できるかが、パフォーマンス向上に不可欠です。本研究では、運動直後のフォームローリング介入が、筋疲労の間接指標である血中乳酸上昇からの回復効果に及ぼす即効的な効果を検証しました。その結果、激運動後に増加した血中乳酸は、その後4分間フォームローリングを行うことで安静にしているよりも低下することを明らかにしました。さらに、フォームローリングによって血中乳酸が低下した人ほど認知機能課題の反応時間が短縮し、激運動後の認知機能低下からの回復にも期待されます。今後の研究により、アスリートが試合やトレーニングで最高のパフォーマンスを発揮できる効果的な疲労回復法としての応用が進むことが期待されます。
左:笠原一希さん (2023年度理学療法学分野修了)、中:小根山慶汰さん(健康スポーツ学科4年)
右:伊藤嵩琉さん(健康スポーツ学科4年)
【本研究成果のポイント】
・激運動後の末梢血乳酸は、筋疲労発生の間接指標であり、乳酸除去は筋疲労からの回復の指標となります。
・疲労困憊に至る運動後に4分間のフォームローリング介入を行うことで、末梢血乳酸除去が速くなり、筋疲労からの回復を速めることが示されました。
・激運動後のフォームローリング介入によって末梢血乳酸除去が速くなった人ほど、認知課題の反応時間が短縮し、認知疲労からの回復にも有用である可能性が示唆されました。
・フォームローリングは場所を問わず短時間で実施できる、筋疲労対策方策となり得ます。
図. フォームローリング介入の例と激運動後からの血中乳酸濃度の変化
原著論文情報:Kasahara K, Oneyama K, Ito T, Nakamura M & Ochi G. (2024) Foam rolling intervention improves lactate clearance after high-intensity exercise. Sports. doi: 10.3390/sports12110303