7/22勉強会

【研究報告】

担当:緒方さん

タイトル:IMUを用いたクロール泳時の回旋角度の評価

  • 背景・目的:競泳選手において腰部障害は発生頻度が高く,クロール泳時には体幹回旋が生じる.胸椎の回旋が低下すると,代償的に腰椎の過回旋が生じるため,腰部障害に繋がる可能性がある.しかし,クロール泳時における胸椎回旋角度と腰椎回旋角度との関連性は明らかとなっていない.本研究はIMU(慣性センサー)を用いてクロール泳時における体幹回旋角度を計測し,胸椎回旋角度と腰椎回旋角度の関連性を検証する.
  • 方法:水泳経験者6名を対象に,IMUを脊柱(上部体幹,中部体幹,下部体幹,腰部,骨盤)に貼付した.被験者は50mクロール泳を実施し,その時の腰部回旋角度と上部体幹,中部体幹,下部体幹,骨盤の回旋角度を測定した.
  • 結果:腰部回旋角度と各セグメント(部体幹,中部体幹,下部体幹,骨盤)の回旋角度の間には正の相関の傾向がみられた.

【文献抄読】

担当:横田先生

タイトル:Does vibrotactile stimulation of the auricular vagus nerve enhance working memory? A behavioral and physiological investigation

出典:Tan et al., Brain Stimul. 2024. 17:(2). doi: 10.1016/j.brs.2024.04.002

  • 背景・目的:作業記憶は多くの認知機能や活動に重要であり,経皮的耳介迷走神経刺激(taVNS)は作業記憶の改善に有望な方法とされている.しかし,電気刺激は耳の不快感や電極の接触不安定性といった課題がある.本研究では,振動式taVNS(vibrotactile taVNS)を開発し,作業記憶の改善効果を調査した.また,皮膚導電性と瞳孔径を用いて覚醒度の変化も検証した.
  • 方法:20名の健常被験者を対象に,N-backタスクを行いながら行動反応,皮膚導電性,視線追跡データを同時に記録した.刺激条件は,振動式taVNS(耳甲介への刺激),耳朶(Sham contorol),および刺激なし(Baseline contorl)の3群とした.
  • 結果:4-backタスク(最大の作業記憶容量を要求)において,振動式taVNSはベースラインに対して有意に作業記憶のパフォーマンス指標d’を改善したが,Ssham contorlとの違いは認められなかった.また,作業難易度の増加に伴うd’の減少率は,振動式taVNS中にベースラインおよびsham条件よりも小さいことが確認された.さらに,タスクの進行に伴い皮膚導電性と瞳孔径が低下ししたが,振動式taVNSが高認知負荷のタスク中に,BaselineやSham条件よりも高い瞳孔径と皮膚導電反応レベルを示した.すなわち,振動式taVNSは作業記憶に最適な覚醒レベルを維持したことが示唆された.
  • 結論:振動式taVNSは覚醒経路を調節し,作業記憶の向上に寄与する可能性があることが示唆された.