4/1 勉強会
【研究報告】
担当:関根先生
タイトル:仙腸関節痛の既往の有無による片脚立位時の骨盤・股関節挙動と体幹・下肢筋活動の比較
- 目的:片脚立位時の骨盤・股関節挙動と筋活動を仙腸関節痛の有無で比較し,仙腸関節痛既往者に特徴的な挙動・筋活動を明らかにすることを目的とした.
- 方法:仙腸関節痛の既往を有する男子大学生9名ならびに健常男子大学生12名を対象とした.課題試技は軸足での片脚立位(①挙上側の股関節屈曲角度70度,②90度)とした.片脚立位試技中の骨盤角度・股関節角度,体幹・下肢筋活動を算出した.片脚立位試技を上昇期,片脚立位保持期,下降期の3期に期分けし,分割プロット分散分析を用いて,各期の筋活動量を2群間(疼痛群・健常群)で比較した.また,SPM-1Dにおける対応のないt検定を用いて,各期の関節角度を2群間(疼痛群・健常群)で比較した.
- 結果:股関節屈曲70度試技,90度試技のいずれにおいても,挙上側の股関節内旋角度は健常群に比べて疼痛群で小さくなった(股関節屈曲70度試技:上昇期の35~100%,片脚立位保持期の全区間,下降期の0~43%,p < 0.05)(股関節屈曲90度試技:上昇期の36~100%,片脚立位保持期の全区間,下降期の0~18%,p < 0.05).両群の筋活動量に差を認めなかった.
- 結論:片脚立位における挙上側下肢の股関節内旋角度は健常群に比べて,仙腸関節痛の既往を有する群で小さかった.仙腸関節の機能障害と股関節内旋可動域が関係する可能性があり,今後はその要因を検討する必要がある.
【文献抄読】
担当:下門先生
タイトル:Disturbance of information in superior parietal lobe during dual task interference in a simulated driving task
出典:Kusafuka et al., PLoS One. 2023 18(12):e0290042. doi: 10.1371/journal.pone.0290042B1
- 目的:ボールと指の位置関係の時系列変化に着目し,リリース角度のバラツキとの関連を明らかにする.
- 方法:男性ピッチャ14名を対象に,30投球をビデオカメラ2台で撮影した.撮影した映像に対して,DeepLabCutを用いて手部関節点のデジタイズを行った.リリース時のボールの速度ベクトルから,リリース角度を算出した.指とボールとの相対位置座標は,Porisional Relationship Index(PRI)を用いた.試技を繰り返すことによるリリース角度の標準偏差を変動性とみなし,PRIとの相関関係を分析した.
- 結果:ボールの鉛直加速度が変化する時,PRIで見た中指位置は低くなっていた.また,ボールの鉛直加速度の正と負の2つのピークで中指の位置のバラツキが小さくなり,リリース角度のバラツキも小さくなっていた.
- 結論:加速度ピーク手前で中指位置が低い方が,リリース角度のバラツキを抑え安定したピッチングが行える可能性が示唆された.