12/25 勉強会
【研究報告】
担当:大西先生
タイトル:体性感覚パフォーマンスと脳構造・機能との関係
- 背景:トレーニングや長期的な経験によって灰白質(GM)体積は変化する.そのため,体性感覚情報処理に関与する皮質領域のGM体積から体性感覚パフォーマンスを予測できる可能性がある.
- 目的:空間的識別力を検査するための二点識別覚(2PD)パフォーマンスと脳構造との関係性を調べた.
- 方法:ボランンティア42名を対象に,パーソナルコンピュータで制御可能な2PD検査装置を利用して2PD閾値を算出した.その後,T1強調画像を撮像し,Voxel based morphometry (VBM)法を用いてボクセル毎のGM体積を算出した.
- 結果:2PDとGM体積の関係を重回帰分析した結果,2PD閾値が低いほど(体性感覚パフォーマンスが優れているほど)対側半球の中側頭回後方から下頭頂小葉にかけてのGM体積が少いことが明らかになった(Onishi et al., Cerebral Cortex, 2023).考察体性感覚情報は一次体性感覚皮質(S1)や上頭頂小葉,下頭頂小葉,背外側前頭前野などで処理されることを踏まえると,得られた結果は妥当な結果であると考えられる. (補足)同じ被験者を対象にして,脳磁図(MEG)を用いて,S1の抑制機能および皮質間ネットワークと2PDとの関係を調べた.S1抑制機能の評価には刺激間隔100msのペアパルス刺激を用い,皮質間ネットワークには安静時波形を用いた.その結果,2PD閾値が低いほどN20mの抑制が弱いことと,安静時のS1-上頭頂小葉およびS1-下頭頂小葉とのβ帯域の機能的結合が強いことが明らかになった(Sasaki & Onishi et al., Cerebral Cortex, 2023).
- 今後の予定:今回得られた脳構造および脳機能と体性感覚機能との因果関係を解明する.