本研究は,本学の共同研究助成金(2022年度・2023年度共同研究・共同利用研究費)を受けて本学理学療法学科の教員である江玉睦明教授,高林知也講師,阿久澤弘助教と,越野裕太助教(北海道大学),工藤慎太郎教授(森ノ宮医療大学),小林匠教授(北海道千歳リハビリテーション大学),沼澤俊助教(宝塚医療大学),秋吉直樹氏(Jメディカルおゆみの),疋田佳希氏(aruck lab),溝田丈士氏(副島整形外科病院)により実施された多施設共同研究になります.
【研究内容の概要】
足関節の背屈可動域が制限されてしまう(足首が固い)と,様々な怪我が起こるリスクが高まります.そのため,背屈可動域制限の有無を確認することはリハビリテーションにおいて重要です.本研究では多施設で研究を実施し,足関節背屈可動域制限の有無をより判別できる測定姿勢の検証を行いました.本研究の結果から,足関節背屈可動域の測定は「体重をかけない姿勢よりも,体重をかけた姿勢で測定した方が,より可動域制限の有無を確認できる」ということが明らかになりました.
【研究者からのコメント】
左:江玉教授(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,運動機能医科学研究所)
中央:高林知也講師(理学療法学科,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所)
右:阿久澤弘助教(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,運動機能医科学研究所)
足関節背屈可動域の測定は,理学療法において一般的に行われている検査のひとつです.しかし,どのような測定姿勢で可動域を測定すれば,より明確に背屈可動域制限の有無を判別できるのか,科学的根拠に基づくデータは示されていませんでした.そのため,我々が理事を務める「足の構造と機能研究会」にて,本学共同研究・共同利用研究費による助成を受けて多施設共同研究として荷重位と非荷重位での背屈可動域測定の臨床データを蓄積してきました.本研究で明らかとなった荷重位での測定の方が,背屈可動域制限の有無をより明確に判別できるという結果は,臨床現場に直接つながる重要な知見となると考えています.
a・b:腹臥位(非荷重位)での計測 c・d:立位(荷重位)での計測
足の構造と機能研究会は江玉睦明教授が会長を務めており,2023年度は本学にて第4回学術大会を開催しました.2024年度は6月1,2日に札幌医科大学にて第5回学術集会を開催します.
是非ホームページをご確認ください.
【本研究成果のポイント】
・非荷重位の測定では怪我をした足としない足の足関節背屈可動域に差を認めない症例でも,荷重位での測定では差が明らかになる可能性がある.
・荷重位での背屈可動域測定は,可動域制限の有無を判別するために有用と考える.
原著論文情報: Koshino Y, Takabayashi T, Akuzawa H, Mizota T, Numasawa S, Kobayashi T, Kudo S, Hikita Y, Akiyoshi N, Edama M. Differences and relationships between weightbearing and no-weightbearing dorsiflexion range of motion in foot and ankle injuries, Journal of Orthopaedic Surgery and Research. 2024 (in press)