12/11 勉強会
【研究報告】
担当:太田先生
タイトル:遅発性筋痛における筋膜および筋の発現変動遺伝子の検索
- 目的:網羅的遺伝子解析により,遅発性筋痛の筋膜および筋で発現変動する新たな遺伝子(群)候補を見出す.
- 方法:雄性Sprague-Dawley (SD) ラットの下腿伸筋群に伸張性収縮 (LC) を反復負荷し,遅発性筋痛モデルを作製した.LC24時間後の下腿筋膜および前脛骨筋をそれぞれ摘出し全RNAを精製後,網羅的遺伝子解析 (RNAシーケンス解析) を行い,それぞれLC反対側 (非運動側) と比較した.発現変動の見られた遺伝子 (DEG) については,逆転写リアルタイムPCR法により発現レベルを測定した.
- 結果・結論:LC24時間後の筋膜のDEGとして,12個の発現上昇遺伝子が,208個の発現減少遺伝子がそれぞれ抽出された.発現上昇遺伝子のうちAnkyrin repeat domain 1 (Ankrd1) に対しPCR法により発現レベルを測定したところ,反対側に比べて有意に発現上昇した.発現減少遺伝子群に対するエンリッチメント解析の結果,「角化外皮の形成」が抽出された.一方,LC24時間後の筋におけるDEGとしてDual specificity phosphatase (Dusp)15が抽出された.今回抽出された遺伝子(群)が遅発性筋痛発症機構にどのように関与するかは不明であるため,今後の検討課題である.
【文献抄読】
担当:緒方さん
タイトル:Kinematic changes in the undulatory kicking during underwater swimming
出典:Veiga et al., Sports Biomech, 2023, 1-15. doi: 10.1080/14763141.2023.2177192B1
- 目的:本研究は水中ドルフィンキックのFirst kickとLast kickの運動学的特性を比較すること.
- 方法:全国レベルの水泳選手54名(男性26名;女性28名) を対象とし,全力25m泳時の水中ドルフィンキックのFirst kickとLast kickの運動学特性を比較した.
- 結果:キック速度,キック長では男女ともにLast kickにおいて低下していた.また,男性はキック振幅,女性はキック頻度で低下がしていた.セグメント角度では全項目(上肢,体幹,大腿,下腿)において増加が見られた.
- 結論:水中ドルフィンキック中には,Last kickにおいて男性はキック頻度、女性はキック振幅を保持した.また,すべての選手でキック速度とキック長が減少した.分節運動学と関節の可動域によれば、これらの変化はドルフィンキック動作よりも水面近くでの身体の傾きに関連している可能性.