5/29 勉強会

【研究報告】

担当:笠原さん

タイトル:Foam Rollingによる効果の検討

  • 目的:ストレッチの代替案として,Foam Rolling(FR)が注目されている.そこで,FRによる急性および持続効果の検討や,ストレッチとの併用効果,長期介入効果の検討を行った.
  • 結果:結果①:足関節底屈筋群に対する6週間のFR介入効果の検討の結果,介入前と比較して介入後に有意に足関節背屈ROMが増加した.またその効果は介入側だけでなく非介入側にまで及んだ.足関節底屈筋力に変化は見られなかった.結果②:膝関節伸展筋群に対するFRと静的および動的ストレッチの併用効果の検討の結果,全ての介入によって膝関節屈曲ROMの増加を認めた.また,その効果は,FRと動的ストレッチの組み合わせに対し,FRと静的ストレッチとの併用が有意に大きかった.結果③:膝関節伸展筋群に対する短時間の静的ストレッチ,FRの介入効果の検討の結果,全ての介入群で有意に膝関節屈曲ROMが増加したが,静的ストレッチを行った条件でのみ筋力の低下を認めた.また,短時間の静的ストレッチ介入後のFR介入は筋力低下を生じさせないことが明らかとなった.結果④:膝関節伸展筋群に対する180秒間のFR介入における急性効果および持続効果の検討の結果,介入直後に膝関節屈曲ROMが増加し,その効果は介入60分後まで持続していた.結果⑤:膝関節伸展筋群に対する180秒間のFR介入における介入速度の違いによる急性効果の検討の結果,介入速度に関係なく膝関節屈曲ROMは増加した.また,介入直後において短縮性膝関節伸展筋力は増加した.結果⑥:膝関節伸展筋群に対する介入方法の違いによる急性効果の検討の結果,対象筋に対する圧迫のみの介入条件および圧迫に加え関節運動を行う条件においても通常のFR介入方法と同様の効果を認めた.
  • 結論:FR介入は関節の柔軟性増加に有効である.その効果は介入方法の違いに影響を受けない.また180秒の介入は介入60分後まで有意に柔軟性を増加させ,長期介入の実施も柔軟性増加に有効である.さらに,FR介入は介入後の筋力やパフォーマンスを低下させない.

【文献抄読】

担当:越智先生

タイトル:Increased cognitive load in immersive virtual reality during visuomotor adaptation is associated with decreased long-term retention and context transfer

出典:Juliano JM et al., J Neuroeng Rehabil. 2022, DOI: 10.1186/s12984-022-01084-6

  • 目的:VRによるリハビリテーション,運動学習に注目が集まっているが,実生活で効果があるのかは不明な点が多い.実際に,VRによる運動学習は認知負荷が高まり,学習効果を阻害する可能性がある.そこで,本研究ではVRを用いた運動学習と認知負荷の影響を検証した.
  • 方法:視覚運動課題を実際の平面ディスプレイで行う条件とVR空間の平面ディスプレイを見ながら実施した.課題中に音に対して反応する認知負荷課題を課した.
  • 結果: その結果,VR空間では認知負荷が高く,学習初期において戦略的(明示的)学習の低下と関連した.さらに,その後の学習の定着低下とも関連した.
  • 考察:これらの結果から,VRを用いた運動学習は,特に学習初期に認知負荷の影響を受け,学習効果を阻害する可能性が示唆された.