4/10 勉強会

【研究報告】

担当:田邊さん

タイトル:テクスチャーの異なるActive Touch介入が皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響

  • 目的:2種類のテクスチャーを用いたActive Touch介入前後の皮質脊髄路興奮性を明らかにする.
  • 方法:健常成人23名に対して,滑らかなテクスチャーであるSilk条件および粗いテクスチャーであるHessian条件の2条件のActive Touch介入を行った.Active Touch介入直後および介入15分後に皮質脊髄路興奮性をTMS(経頭蓋磁気刺激装法)にて評価した.また,各テクスチャーに対する主観的な感じ方をVASにて評価した.
  • 結果:両条件のActive Touch介入は,介入前と比較し介入直後および介入15分後においてMEP振幅値に有意な差は認められなかった.また,Hessian条件はSilk条件と比較し刺激を強く,粗く,そして不快に感じることがわかった.
  • 結論:異なるテクスチャーによるActive Touch介入は,皮質脊髄路の興奮性を変化させないことが分かった.

【文献抄読】

担当:玉越先生

タイトル:Molecular mechanism of cerebral edema improvement via IL-1RA released from the stroke-unaffected hindlimb by treadmill exercise after cerebral infarction in rats

出典:Gono et al., J Cereb Blood Flow Metab. 2023, DOI: 10.1177/0271678X231151569

  • 目的:脳梗塞後の脳浮腫は死亡率や運動能力に直接影響する.脳梗塞後の運動療法は有効な治療法であるが,その分子機構は不明である.骨格筋収縮時に放出されるインターロイキン1受容体拮抗薬(IL-1RA)などのマイオカインが他の臓器に影響を及ぼすことが知られている.我々は,一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)モデルラットを用いて運動中のミオカイン放出が脳浮腫を改善させるか調査した.
  • 方法:tMCAOラットを重症度別に分け,さらに運動群と非運動群に割り付けた.tMCAO後の再灌流後1~6日目から10分間,2~8m/minの速度でトレッドミル運動を実施した.
  • 結果: 運動は重症MCAOラットの脳浮腫と神経障害を有意に減少させ,虚血コアでのアクアポリン4(AQP4)発現の減少,非麻痺側からのIL-1RA放出量の増加が認められた.IL-1RAを側脳室に投与すると,浮腫と虚血コアでのAQP4発現が有意に減少した.
  • 考察:脳卒中発症後のトレッドミル運動は,血中IL-1RAの減少を抑制した.IL-1RA投与は梗塞巣におけるアストロサイトのAQP4発現を低下させ,脳浮腫を抑制した.