2/20 勉強会

【研究報告】

担当:下門先生

タイトル:ドルフィンキック泳中の足部に働く圧力分布と流れの関係

  • 背景・目的:スイマーの全身に働く力を厳密に定量化することは困難であり,代替できる方法がいくつか存在する.本研究では,防水型圧力センサによる足部の流体力計測と,後流の流れ場の可視化で推力を推定する.
  • 方法:熟練スイマー1名が参加し,回流水槽(流速0.8m/s)における水中ドルフィンキック泳中の足部に働く流体力と後流の流れ場解析を行った.
  • 結果:蹴り下ろし中に足部に働く流体力の値は最大で100N程度であった.渦輪から推定される推力は約20Nであった.
  • 結論:先行研究の全身の推進力が30N程度であり,渦輪による推力20Nでは過小評価となるため,今後は高精度な推力推定法(渦輪の3次元化)を用いる必要がある.

【文献抄読】

担当:渡邊さん

タイトル:Associations between the size of individual plantar intrinsic and extrinsic foot muscles and toe flexor strength

出典:Kusagawa et al., J Foot Ankle Res. 2022 DOI:10.1186/s13047-022-00532-9

  • 背景:足部内在筋と外在筋の大きさは,足趾屈曲筋力(TFS)と関連することが報告されている.しかし,どの内在筋や外在筋がTFSの生成に寄与しているかは不明であった.本研究ではTFSの生成に寄与する内在筋と外在筋を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:成人健常男性17名を対象に,各筋の最大解剖学的筋横断面積(ACSA max)と筋体積(MV)をMRI装置を用いて測定し,足趾筋力測定器を使用しTFSを測定した.筋サイズとTFSとの関連性はPearsonの積率相関係数を用いて検定し,重回帰分析(目的変数:TFS,説明変数:各筋のACSA maxとMV)を行った.
  • 結果:TFSは母趾内転筋斜頭(r = 0.674, p = 0.003),母趾内転筋横頭(r = 0.523, p = 0.031),短趾屈筋(r = 0.492, p = 0.045)のACSA maxと,母趾内転筋斜頭(r = 0.582, p = 0.014)のMVと有意に関連した.重回帰分析の結果,母趾内転筋斜頭のACSA maxとMVのみが有意な説明変数として選出され,ACSA maxはTFSの42%,MVはTFSの29%を説明することが示された.
  • 結論:足部内在筋と外在筋のうち,母趾内転筋斜頭がTFSの生成に最も寄与していることが明らかとなった.