2/13 勉強会

【研究報告】

担当:齊藤先生

タイトル:背外側前頭前野への経頭蓋電気刺激が触覚方位弁別能力にもたらす効果

  • 目的:左背外側前頭前野に対して経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)と経頭蓋パルス電流刺激(tPCS)を与えることで右手指の触覚方位弁別能力に生じる変化を検証することを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人32名(tRNS:25名,tPCS:16名)とした.左背外側前頭前野に対してtRNSもしくは陽極tPCSを10分間与え,刺激前と刺激直後,刺激終了後30分で触覚方位弁別能力の評価を実施した.
  • 結果:tRNSにおいて,刺激前と比較して,刺激直後および刺激終了後30分で触覚方位弁別閾値が有意に低下した.一方,陽極tPCSでは刺激前後で弁別閾値に有意な変化は認められなかった.
  • 結論:左背外側前頭前野に対してtRNSを与えることで右手指の触覚方位弁別能力が向上する可能性が示唆された.陽極tPCSについては,今後刺激パラメータを検討する必要性が示唆された.

【文献抄読】

担当:富樫さん

タイトル:The different subtalar ligaments show significant differences in their mechanical properties

出典:Michels et al., Foot Ankle Surg. 2022 DOI:doi.org/10.1016/j.fas.2022.02.008

  • 背景:距骨下関節の各靱帯構造が,距骨下関節の安定性にどの程度寄与するかは未だ明らかになっていない.そこで,距骨下関節の靭帯構造の力学特性を評価した.
  • 方法:新鮮凍結遺体18足を対象とし,踵腓靱帯(CFL),頚靱帯(CL),前関節包靱帯-骨間距踵靱帯複合体(ACaL-ITCL)の骨-靱帯-骨複合体標本を作製した.各標本に対して単軸試験を実施し,それぞれの靱帯におけるstiffness,破断強度を算出した.
  • 結果:ACaL-ITCL複合体のstiffness (mean ± SD:150 ± 51 N/mm,95 % 信頼区間 (CI):125.0–176.6 N/mm) は,CFL (mean ± SD:55.8 ± 23.0 N/mm,CI:43.8–67.7 N/mm) およびCL (mean ± SD:63.9 ± 38.0 N/mm,CI:44.4–83.3 N/mm)と比較し有意に高値を示した.また,ACaL-ITCL複合体の破断強度 (mean ± SD:382.5 ± 158 N,CI:304.1–460.8 N) とCFLの破断強度 (mean ± SD:320.4 ± 122.0 N,CI:257.5–383.2 N) は,CLの破断強度 (mean ± SD:163.5 ± 58.0 N,CI:131.3–195.7 N) と比較し有意に高値を示した.靱帯の損傷パターンは,CFL,ACaL-ITCLの全例とCLの60%で部分断裂が認められた.
  • 考察・結論:CFL,CL,ACaL-ITCLの力学特性は異なることが明らかとなった.CFL,CLは共に柔軟性に富んだ靭帯であり,距骨下関節不安定症の発生に関与する可能性が示唆された.力学特性の検討において,CLやCFLの再建には合成靭帯と比較し薄筋腱の移植が適している可能性が示唆された.また,靱帯の損傷パターンは,部分断裂が最も多い結果となった.CFL試験時の腓骨の剥離は,非常に稀であった.これらの靱帯の損傷パターンは,正確な診断・治療に重要であるため,さらなる調査が必要である.