12/19 勉強会
【研究報告】
担当:五十嵐(眸)先生
タイトル:恐怖記憶の形成・消去に関連する脳活動
- 背景・目的:慢性疼痛の病態に恐怖学習による恐怖記憶の形成が関与していることが示唆されている.恐怖条件付けによって恐怖記憶の形成される被験者がいる一方で,形成されない被験者も存在する.しかし,その脳活動の違いは明らかになっていない.本研究では,恐怖条件によって恐怖記憶の形成群・非形成群の間の脳活動の違いを検証する.さらに,記憶を想起した10分後は過去に統合された記憶は一時的に不安定状態となり,消去介入によって恐怖記憶を消去できることが示唆されている.しかし,その神経基盤は不明である.そこで,恐怖記憶の消去に関連する神経基盤を同定する.
- 方法:恐怖条件付けにはCS+とCS-の2つの条件刺激を用いる.CS+には75%の確立で嫌悪刺激が伴う.各16回提示する.①条件付け前後でMEGを用いて脳活動を計測する.②恐怖条件付け24時間後に想起刺激を行い,不安定状態にある脳活動を記録し,消去介入を実施.消去介入24時間後に消去効果を評価し,脳活動と消去効果の関係性について検討する.恐怖反応はSCRを指標として評価する.
- 結果:プレ実験にて健常成人11名を対象に恐怖条件付けが成立するかを検証した.その結果,CS+とCS-に対する恐怖反応には有意差が認められた.11名中7名は恐怖記憶が形成され,4名は恐怖記憶が形成されなかった.
- 今後の展開:MEGにて脳活動の計測を行い,形成・非形成群で脳活動の特徴を明らかにする.加えて,恐怖記憶の消去に関連する脳活動の同定を行う.