3/28 勉強会

【研究報告】

担当:鈴木(孝)

タイトル:青斑核ノルアドレナリン神経による体性感覚野の活動調節機構

  • 背景:青斑核(LC)の活動とパフォーマンスは逆U字の関係性にあることは明らかとなっているが、感覚機能においても同様の関係性があるのかは不明である。
  • 目的;LCのノルアドレナリン(NA)は一次体性感覚野(S1)の活動に影響をおよぼすかを明らかにすることを目的とした。
  • 方法:ラット前肢への触覚刺激およびLCへの電気刺激(0.1,1,4Hz)を行い、S1領域から神経応答を記録した。
  • 結果:LCへの1Hzの刺激周波数はS1の活動を増大させるということが明らかとなった。
  • 結論:LC-NAは体性感覚野の活動を1Hzの周波数依存的に増大させることが明らかとなった。

 

【文献抄読】

担当:北谷

タイトル:Neural coupling between upper and lower limb muscles in Parkinsonian gait

出典:Weersink et al., Clin Neurophysiol 2022. doi: 10.1016/j.clinph.2021.11.072.

  • 目的:パーキンソン病患者における歩行中の上肢と下肢の筋活動の神経結合を評価するために時間依存方向性筋間コヒーレンス解析を行った。
  • 方法:対象は20人のパーキンソン病患者と20人の高齢者とした。150mの歩行路を歩いている時の両側三角筋前部・後部、大腿直筋・大腿二頭筋の筋電図を測定し、時間依存方向性筋間コヒーレンスを算出した。
  • 結果:パーキンソン病患者では、立脚中後期における時間差の無いコヒーレンスがベータ・ガンマ帯域において減少し、遊脚初期における上肢→下肢、下肢→上肢方向のコヒーレンスがアルファ・ベータ帯域において増加していた。
  • 結論:パーキンソン病患者は歩行中に上肢と下肢筋に対する皮質からの同期入力が立脚中後期に減少しており、遊脚初期では上肢・下肢筋の両方向性の神経結合入力を増加させる代償的な神経メカニズムが活動していることが示唆された。