11/29 勉強会

【研究報告】

担当:高橋

タイトル:2型糖尿病モデルラットの脛骨近位端における骨細胞の変化~骨小腔とSclerostinの組織学的検討~

  • 目的:本研究の目的は,2型糖尿病モデルラットを用い脛骨近位端皮質骨における骨細胞の組織学的検討を行うことである.
  • 方法:実験動物には,5週齢の雄性SDラット(Cont群)とSDT-Fatty(T2DM群)を用いた.両群とも30週齢時にサンプリングを行い,脛骨近位端におけるEmpty lacuna ratio およびSclerostin陽性細胞率を算出した.
  • 結果:Empty lacuna ratioは,Cont群と比較してT2DM群で有意に高値を示した.Sclerostin陽性細胞率は,両群間に有意差が認められなかった.
  • 結論:2型糖尿病におけるEmpty lacunaについては,これまでの研究結果と比較し骨幹部と同程度生じていることから皮質骨全体に生じていることが示唆された.また,骨細胞におけるSclerostin発現に差が認められないことから,2型糖尿病の骨脆弱性には,Sclerostinを介さない別の経路が寄与している可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:渡邊(貴)

タイトル:Hip and knee muscle torque and its relationship with dynamic balance in chronic ankle instability, copers and controls.

出典:J Sci Med Sport. 2021 Jul;24(7):647-652. doi: 10.1016/j.jsams.2021.01.009. Epub 2021 Feb 9.

  • 目的:慢性足関節不安定症者(CAI)と,足関節捻挫を再発していないcoper(CPR)の股関節や膝関節の等尺性筋トルクやバランス能力を明らかにすること.さらに,Yバランステスト(YBT)リーチ距離と股関節および膝関節筋トルクの関連性を明らかにすることを目的とした
  • 方法:対象はCAI22名,CPR20名,control22名とした.各被験者に対して股関節屈曲,伸展,内転,外転,内旋,外旋,膝関節屈曲,伸展等尺性筋トルクを測定し,YBTを行った.等尺性筋力測定はハンドヘルドダイナモメーターを用いて行った.相関関係は股関節,膝関節の等尺性筋トルクとYBTのリーチ距離の関連性を分析した.
  • 結果: 股関節屈曲,伸展,内転,外転,膝関節屈曲,伸展筋トルクにおいて,CAI群はcontrol群より有意に低下した,さらに,股関節屈曲,伸展,膝関節屈曲,伸展筋トルクにおいて,CAI群はCPR群と比較して有意に低下した.YBTリーチ距離は全てのリーチ方向において,CPR群やcontrol群と比較してCAI群で有意に減少した.股関節,膝関節の等尺性筋トルクとYBTのリーチ距離の相関は,股関節内転等尺性筋トルク,膝関節屈曲,伸展筋トルクと,YBT後外側リーチ距離において正の強い相関が認められた.
  • 結論: 筋力低下はCAIの典型的な特徴であることが示された.さらにバランス能力の低下は,筋力低下と関連することが示された.