9/6 勉強会

【研究報告】

担当:長坂

タイトル:前頭葉の薬理学的抑制は脳卒中後疼痛を軽減させるのか?

  • 目的:視床の脳卒中後に異常な痛みが生じることがある(脳卒中後疼痛)。これまで当該病態ラットモデルを対象に膜電位感受性色素を用いた脳活動イメージングを行い、背側前頭前皮質の活動亢進が明らかになっていた。本研究では、この活動を薬理学的に抑制することによって、痛みが減少するのかを検証した。
  • 方法:視床の脳卒中はコラゲナーゼを投与することによって作成し、痛みの定量化はフォンフレイフィラメントをもちいた機械刺激逃避閾値を計測することでモニターした。背側前頭葉の抑制はGABAa受容体のアゴニストであるムシモルを直接シリンジで皮質投与することによって行った。
  • 結果:視床の脳卒中後、動物は逃避行動閾値の低下を示した。この逃避閾値の低下は背側前頭葉へのムシモル投与によって減弱した。すなわち、痛みが減少したことを示唆した。
  • 結論:本研究結果は、脳卒中後疼痛には前頭葉の活動亢進が関与することを示している。

 

【文献抄読】

担当:中村

タイトル:4, 8, 12RMを用いたレジスタンストレーニングが筋肉量・筋力に及ぼす影響

出典:Kubo et al., J Strength Cond Res. 2021 Apr 1;35(4):879-885. doi: 10.1519/JSC.0000000000003575.

  • 目的:本研究の目的は,トレーニングボリュームを統一した条件下で異なるトレーニング強度(4, 8, 12RM)でのベンチプレストレーニングが筋力増強と筋肥大効果を比較,検討することである.
  • 方法:42名の若年男性を4RMを7セット行う高強度・低回数トレーニング群(n=10),8RMを4セット行う中強度・中回数トレーニング群(n=12),12RMを3セット行う提供度・高回数トレーニング群(n=10),コントロール群(n=10)に群分けを行った.週2回10週間のトレーニング介入前後で大胸筋の筋ボリュームをMRI,ベンチプレスの1RM測定を実施した.
  • 結果:大胸筋の筋ボリュームの変化は4RMと8RM,12RM群に有意な差は認められなかったが,筋力増強効果は4RMと8RMは12RMよりも大きな増強効果を認めた.この結果より,トレーニングボリュームを統一した場合,異なるトレーニング強度を用いたトレーニングでは筋肥大効果は同程度であるが,筋力増強効果は高強度トレーニングに大きく現れる可能性が示された.