8/2 勉強会
【研究報告】
担当:池上
タイトル:熱刺激負荷中の筋収縮が骨格筋細胞内カルシウムイオン恒常性に及ぼす影響
- 背景:熱ストレスは筋小胞体膜状の熱センサーチャネル(TRPV1)を活性化させ,骨格筋細胞質へカルシウムイオン(Ca2+)を流入させる.
- 目的:熱ストレス時のTRPV1を介した細胞質Ca2+濃度 ([Ca2+]i)の増加は,筋収縮による筋小胞体Ca2+放出によって増幅されるという仮説を検証した.
- 方法:Wistar系雄性ラットの脊柱僧帽筋を露出させ,Ca2+感受性蛍光指示薬を導入した.20分間熱ストレス (Heat: 40 ℃) 条件と等尺性筋収縮 (ISO: 100 Hz, 10 V, 30秒)の組み合わせを設定した.[Ca2+]iはin vivo環境下で20分間測定した.TRPV1のリン酸化をwestern blotにより測定した.
- 結果:Heatによって20分間で18.5%の有意な[Ca2+]i増加およびTRPV1リン酸化(+231%)が誘発された.しかしながら,仮説に反してHeat + ISO条件はTRPV1リン酸化および [Ca2+]i上昇をほぼ完全に阻害した
- 結論:本研究は,筋収縮がTRPV1のリン酸化応答を抑制することによって不活性化し,熱ストレスに対する[Ca2+]i恒常性を維持することを明らかにした.
【文献抄読】
担当:川上
タイトル:Simultaneous EEG and pupillary evidence for post-error arousal during a speeded performance task
出典:Compton et al., 2021. European Journal of Neuroscience.
- 目的:認知課題中の瞳孔径および脳波αパワーが,覚醒やパフォーマンスに及ぼす効果を検討する.
- 方法:健常成人を対象に,Stroop課題中の瞳孔径および脳波計測を行った.課題のエラーに伴って,瞳孔径および脳波αパワーが変化するかを解析した.
- 結果:課題エラー後に,瞳孔径の拡大とαパワーの抑制が生じた.また,瞳孔径が大きいほど,脳波αパワーが低下する関連性も認めた.
- 結論:瞳孔径の拡大および脳波αパワーの抑制は,エラーに関連した覚醒の高まりを反映していることを示唆した.