6/21 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血モデルラットを用いた脳出血後超早期リハビリテーションの効果検証

  • はじめに:本研究では脳出血後の超早期運動介入によるミクログリアの活性化について検証した.
  • 方法:実験動物にはWistar系雄性ラットを用いた.対象を無作為に偽手術群(SHAM群),脳出血+非運動群(ICH+Cont群),脳出血+超早期運動群(ICH+VET群)の3群に分けた.脳出血モデルは,左線条体にカニューレを挿入し,コラゲナーゼ・Type IVを一定流速で注入して作製した.ICH+VET群は,手術6時間後から6日目までトレッドミル走行運動を実施した.運動機能評価にはHorizontal ladder testを用いて梯子の掴み方をスコア化し,巧緻機能を評価した.また,Rotarodを用いて全身のバランス機能を評価した.運動機能評価は,発症3時間目,25時間目,6日目に実施した.発症7日目に脳組織を採取し,傷害側線条体部のタンパク発現量解析を行った. ウェスタンブロッティング法を用いてCD80(M1ミクログリアマーカー),CD163(M2ミクログリアマーカー),NeuN,PSD95,GFAPのタンパク発現量を解析した.また,ELISA法を用いてIL-1bのタンパク発現量解析を行った.
  • 結果:ICH+VET群の運動機能障害はICH群と比較して発症25日目に悪化したが、発症6日目では有意差はなかった.IL-1bタンパク発現量は,全群間に有意差はなかった. ICH+VET群のCD163タンパク発現量はICH群と比較して有意に低下した.しかし,NeuN,PSD95,GFAPのタンパク発現量はICH群とICH+VET群の間に有意差はなかった.
  • 考察:発症24時間以内から6日目までの継続的な運動介入によってM2ミクログリア(CD163)の活性化が抑制されることが示唆された.M2ミクログリアは神経保護作用の働きがあるが,発症6日目における運動機能障害や神経細胞およびシナプスには影響がなかったため,M2ミクログリアの活性化抑制による影響は今後検証する必要がある.

 

【文献抄読】

担当:渡邉

イトル:Transcranial Random Noise Stimulation Acutely Lowers the Response Threshold of Human Motor Circuits

出典:Potok et al., 2021. Journal of Neuroscience.

  • 目的:経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)中の一次運動野の興奮性変化を明らかにする.
  • 方法:健常成人を対象にtRNS刺激中に経頭蓋磁気刺激(TMS)を行い,tRNS刺激中の一次運動野の興奮性を評価した.
  • 結果:tRNS刺激中は一次運動野の安静時運動閾値(RMT)が低下していたため,一次運動野の興奮性は増大していた.
  • 結論:tRNSは即時的に一次運動野の興奮性を向上させることが明らかとなった.