3/15 勉強会

【研究報告】

担当:五十嵐(眸)

タイトル:DLPFCに対するtACSが熱痛に及ぼす効果の検討

  • 目的:慢性疼痛患者は背外側前頭前野(DLPFC)におけるθ及びβ帯域律動が増加することが報告されている.本研究では,皮質の律動活動を変調させることのできる経頭蓋交流電流刺激(tACS)を用いて,DLPFCにおけるθ及びβ帯域律動変調が痛みに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:健常成人(n = 60)をθ-tACS群,β-tACS,sham-tACS群(n=20ずつ)に分けた.tACS刺激前(Pre),刺激中(During),刺激後(Post)における痛みの評価を行った.痛みの評価指標としては,熱痛閾値と熱痛耐性閾値を用いた.各閾値は2回ずつ測定を行い,それぞれの平均値を個人の閾値として採用した.
  • 結果: 熱痛閾値に関しては,3条件において交互作用が認められた.tACS刺激中におけるPreからの変化率を比較したところ,sham-tACSと比較してθ-tACSでは有意な閾値の上昇が認められた.また,tACS刺激後におけるPreからの変化率を比較したところ,sham-tACSと比較してβ-tACSは有意な閾値の上昇が認められた.
  • 結論:θ-tACSは刺激中,β-tACSは刺激後に熱痛閾値が上昇することが明らかになった.

 

【文献抄読】

担当:井上

タイトル:Improving rehabilitation in sarcopenia: a randomized-controlled trial utilizing a muscle-targeted food for special medical purposes

出典:Rondanelli M et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2020 Dec;11(6):1535-1547. doi: 10.1002/jcsm.12532.

  • 目的: muscle-targetedな栄養サポートの効果と安全性を検証することを目的とした。
  • 方法: 研究デザインは二重盲検化RCT、対象は65歳以上のリハビリ目的に入院したサルコペニア高齢者とした。介入群はホエイタンパクとビタミンDが豊富に含まれた栄養補助食品を摂取した。主要アウトカムは入院中の歩行速度の変化とした。
  • 結果: 両群合わせて127名 (女性66%; 年齢 81 ± 6 歳)がITT解析の対象となった。介入群はコントロール群と比較して歩行速度、筋肉量が有意に改善し、在院日数が短縮した。
  • 結論: ホエイタンパクとビタミンDによる栄養サポートはサルコペニア高齢者の身体機能改善やコスト削減に効果的である可能性がある。