12/14 勉強会

【研究報告】

担当:渡部

タイトル:慢性足関節不安定症群とcoper群における予測的・非予測的な着地動作が動的安定性に及ぼす影響

  • 目的:本研究の目的は異なる着地条件{予測的|非予測的}での着地動作において慢性足関節不安定症(CAI)群・coper群・健常群の動的安定性の違いを明らかにすることとした.
  • 方法:課題動作は予測的な片脚着地動作と非予測的な片脚着地とした。予測的条件は、着地位置を確認しながら30㎝高の台上から右脚で降り,床反力計上に着地してもらった.非予測的条件は,異なる 4種類の課題動作のうち1種類を30㎝高の台上から足部離地後にランダムに動作方法を指定した.本研究では,4種類のうち片脚着地動作のみを分析対象とし,非予測的条件と定義した.
  • 結果:非予測的条件でCAI群はcoper群と健常群と比較して左右方向の動的安定性が低下した.一方でcoper群は健常群と比較して前後方向の動的安定性が低下した.
  • 結論:Coper群は前後方向の動揺を増加させることで左右方向の動揺を制御している可能性が明らかとなった.

 

【文献抄読】

担当:横田

タイトル:Peripheral vagal nerve stimulation modulates the nociceptive withdrawal reflex in healthy subjects: A randomized, cross-over, sham-controlled study

出典:De Icco R et al. Peripheral vagal nerve stimulation modulates the nociceptive withdrawal reflex in healthy subjects: A randomized, cross-over, sham-controlled study. Cephalalgia. 2018 Sep;38(10):1658-1664. doi: 10.1177/0333102417742347. Epub 2017 Nov 20. PMID: 29154689.

  • 目的: 侵害屈曲反射(Nociceptive Withdrawal Reflex: NWR)を用いてヒトに対する非侵襲的迷走神経刺激(Non-invasive Vagal Nerve Stimulation: nVNS)がもたらす疼痛抑制効果を検証すること.
  • 方法: 健常な被験者10名(男性5名,平均年齢26.5±2.2歳)を対象に,nVNS条件とsham条件において,NWR閾値を測定した.nVNSはGamma Core (electroCore, LLC)を用い,nVNS条件では胸鎖乳突筋の内側で迷走神経の頚部枝に対し,25 Hz,200 ㎲の矩形波にて,同側口輪筋の安定した収縮が得られる強度で120 s間刺激を行なった後,5分空けて反対側にも同様に刺激を行なった.Sham条件では,正中神経に沿って手根靭帯の近位1 cmの部位に,同側短母指外転筋の収縮が得られる強度でnVNSと同様のパラメータを用い両側に行った.nVNS刺激前,刺激5分後,30分後時点で,外果後方の腓腹神経を刺激し,大腿二頭筋短頭の逃避的収縮をNWRによる痛覚閾値(RT-SS)とし,脊髄興奮性の指標としてNWRの時間的荷重発現閾値(RT-TS)を求めた.
  • 結果: RT-TSにより示される疼痛閾値はnVNS直後から,脊髄興奮性の指標であるRT-TSは刺激後30分後から上昇した.これらの結果は,頚部nVNSが疼痛抑制や頭痛の発生に関わる迷走神経求心線維,および関連する領域の皮質活動を賦活したことにより,共通の下降性疼痛抑制系経路を介する広汎性侵害抑制調節(Diffuse noxious inhibitory control: DNIC)を足痛したことで得られたと考えられた.
  • 結論: 頚部に対する非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)は,健常者の痛覚知覚閾値を上昇させる.