11/2 勉強会

【研究報告】

担当:清野

タイトル:Foam rolling がROM,筋硬度,FSS,疼痛閾値 (PPT),脊髄興奮性に与える影響の検討 – 介入側・対側での検討 –

  • 目的:FRによるROM,耐性トルク,first stretch sensation (FSS),筋硬度,PPT,脊髄興奮性 (H/M比) に与える影響を検討.FRが対側の筋硬度,脊髄興奮性に与える効果を明らかにすること.
  • 方法:健康成人15名をランダムな順番に4回介入を行った.介入側と対側それぞれで介入前後にROM,耐性トルク,筋硬度,疼痛閾値,H/M比を測定した.各介入は60秒×3セットとした.
  • 結果:DF ROMおよびPPTは有意な交互作用が認められず,介入側と対側ともに介入前後に有意に高値を示した.耐性トルクでは有意な交互作用は認められず,対側のみ介入前後で有意に高値を示した.FSSは有意な交互作用は認められず,介入側と対側ともに介入前後で有意に高値を示した.なお,筋硬度およびH/M比は有意な交互作用および主効果は認められなかった.さらにDF ROM変化量と各指標の変化量の相関関係を見た結果,介入側はDF ROM変化量と耐性トルクおよびFSS変化量間に有意な正の相関がみられた.対側では耐性トルク変化量間に有意な正の相関が認められた.
  • 考察:本研究に結果より,FRにより両側でROMおよびFSS,PPTが増加することが明らかとなった.さらにROM変化量と耐性トルクおよびFSS変化量間に有意な正の相関が認められることが明らかとなった.本研究結果でFRによるROM改善の因子が明らかになったことにより,臨床における対象により介入方法の選択が可能となることが考えられる.

 

【文献抄読】

担当:丸山

タイトル:Effect of transdermal estradiol therapy on bone mineral density of amenorrheic female athletes

出典:Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2020 March 27

  • 背景:低体重(BW)で低骨密度(BMD)の無月経アスリート(AA)における経皮吸収型エストラジオール療法(HT)の効果は不明である.
  • 目的:低BWのAAにおいてHTがBMDを増加させるかどうかを調査し,自然月経(SM)が回復したAAのレベルと比較することを目的とした.
  • 方法:対象は,治療のために国立スポーツ科学センターおよび東京大学産婦人科に訪れた女性アスリート(n = 151)とし,AA群(n=36),HT群(n=55),SM群(n=21),正常月経(EA)群(n=39)の4群に分けた.身長および体重測定,血液検査,BMD測定を初診時(ベースライン時)と12ヵ月後に行った.HT群は,12ヵ月間毎日エストラジオールの経皮的投与,および3ヵ月に1回プロゲスチンの経口投与を7日間受けた.
  • 結果:12ヵ月後のBMDはAA群ではベースライン時に比べて有意に低下したが,他の3群ではベースライン時に比べて有意に増加した.BMDの変化率は,AA群が-1.6±3.2%,HT群が5.3±8.7%,SM群が11.1±8.9%,EA群が2.3±5.7%であり,SM群のBMDの変化率はHT群よりも高かった.
  • 結論:HTはBWが低いAAでBMDを増加させたが,SMを有する者ではHTで治療された者よりも増加が大きかった.