8/24 勉強会

【研究報告】

担当:中村雅

タイトル:High volumeストレッチングが筋厚・筋束長に及ぼす影響の検討

  • 背景:関節の柔軟性を改善させるために用いられるスタティックストレッチングの効果の一つに筋肥大効果が挙げられるが,統一された見解は得られていない.本研究の目的は,高強度・長時間(high volume)のスタティックストレッチング介入が筋厚・筋束長に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:15名の健常成人を対象に利き足側に30分間のスタティックストレッチングを週2回,5週間介入を行い,反対側に介入を行わなかった.5週間のスタティックストレッチング介入前後,内側腓腹筋の筋厚および筋束長を超音波画像診断装置を用いて評価した.
  • 結果・結論:5週間のスタティックストレッチング介入により有意な筋肥大効果は認められなかったため,健常若年者を対象とした場合,スタティックストレッチング介入において筋肥大効果は乏しいことが明らかとなった.

 

【文献抄読】

担当:松澤

タイトル:Valgus stability is enhanced by flexor digitorum superficialis muscle contraction of the index and middle fingers

出典:Hoshika et al . Journal of Orthopaedic Surgery and Research . 2020 ; 15: 121

  • 背景・目的:肘尺側側副靭帯(UCL)再建術による長期間の離脱を避けるためには,UCL損傷の予防や保存療法の改善が重要である.先行研究において,浅指屈筋が肘内側の安定性に最も重要と報告されている.しかし,用いられている動作が手指屈曲であり,浅指屈筋単独の収縮が肘内側の安定性に寄与するかどうかは不明である.そこで,浅指屈筋単独の収縮が腕尺関節離開距離(JS)に及ぼす影響を検討することを目的とした.
  • 方法:対象は健常男性17名とした.測定肢位は肘30°屈曲位とし,Telos stress deviceを用いて50Nの肘外反ストレス(VS)を加えた.測定条件は,VSを加えない条件(負荷なし),VSを加えた条件(負荷あり),VSを加えてFDSの単独の指の収縮を行う条件とした.全条件で,超音波を用いてJSを計測した.条件間のJSの比較には反復測定一元配置分散分析を行い,事後検定として,ボンフェローニ法を用いた.有意水準は5%とした.
  • 結果:負荷ありのJSは負荷なしに比べて有意に高値だった.2指収縮,3指収縮,4指収縮のJSは負荷ありに比べて有意に低値だった.2指収縮,3指収縮のJSは4指収縮に比べて有意に低値だった.
  • 結論:浅指屈筋の2指,3指,4指の収縮は肘内側の安定性に関与し,特に2指と3指が重要である.