7/6 勉強会

【研究報告】

担当:齊藤

タイトル:後頭頂皮質に対する経頭蓋パルス電気刺激が触覚方位弁別能力にもたらす効果

  • 目的:左右の後頭頂皮質に対して陽極経頭蓋パルス電気刺激(anodal tPCS)を与えたときに,右手指の触覚方位弁別能力に生じる変化を検証する.
  • 方法:右利き健常成人男性16名の左右いずれかの後頭頂皮質に対してanodal tPCS(パルス幅:50ms,パルス間隔:5 ms)を与えた.触覚機能の評価として,刺激前後で右示指の触覚方位弁別課題を実施し,それぞれの弁別閾値を算出した.
  • 結果:いずれの後頭頂皮質においても,anodal tPCSによる弁別閾値の変化を認めなかった.一方,右後頭頂皮質に対してanodal tPCSを与えたときに生じた弁別閾値の変化率と刺激前の弁別閾値の間に負の相関関係が認められた.
  • 結論:刺激前の弁別能力が低い対象者ほど,右後頭頂皮質にanodal tPCSを与えると触覚方位弁別能力が向上することが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:長坂

タイトル:Premotor Cortical-Cerebellar Reorganization in a Macaque Model of Primary Motor Cortical Lesion and Recovery. 

出典:Yamamoto et al., The Journal of neuroscience 39(43) 8484 – 8496 2019年10月

  • 目的:脳卒中後の運動麻痺の回復に関与する解剖学的な可塑性を明らかにする.
  • 方法:マカクサルの一次運動野の手指領域に限局的な脳損傷を作成し,行動学的な運動機能の回復が見られた後,腹側運動前野に解剖学的トレーサーを注入し,どのような脳領域へ軸索投射があるのか調べた.比較として正常個体の腹側運動前野にもトレーサーを注入した.
  • 結果:脳損傷モデルにおいて腹側運動前野からの陽性軸索は小脳核(とくに室頂核)に確認された.この傾向は健常個体には確認されなかった.
  • 結論:脳損傷後の腹側運動前野から小脳核へと形成される解剖学的経路が,運動機能回復に関与している可能性が示唆された.