6/22 勉強会

【研究報告】

担当:森下

タイトル:心肺運動負荷試験中のFace pain scaleとBorg scaleの関連性

  • 目的:Face pain scaleが自覚的運動強度として利用可能かどうかを健常大学生で検証することを目的とした。
  • 方法:健常大学生40名(男性20名、女性20名)を対象に自転車エルゴメータにて20 Watt/分のramp負荷法による心肺運動負荷試験を実施した。対象者にはFace pain scaleとBorg scaleを使用し、1分毎に自覚的運動強度をランダムに質問した。心肺運動負荷試験中、心電図及び呼気ガス分析から心拍数(HR)、酸素摂取量(VO2)、分時換気量(VE)、仕事率(WR)を1分毎に記録した。Face pain scaleとBorg scale、HR、VO2 、VE、WRの関連性について評価した。
  • 結果:男女ともに心肺運動負荷試験中のFace pain scaleとHR、VO2、VE、WRには有意な相関が認められた(それぞれp<0.01)。Borg scaleでも同様にHR、VO2、VE、WRにおいて有意な相関が認められた(それぞれp<0.01)。さらにFace pain scale とBorg scaleには有意な相関が認められた(p<0.01)。
  • 結論:男女ともにFace pain scaleはBorg scaleと同じようにHR、VO2、VE、WRと高い相関を示しており、自覚的運動強度として利用できる可能性が示唆された。

 

【文献抄読】

担当:徳永

タイトル:Muscle contributions to medial and lateral tibiofemoral compressive loads during sidestep cutting

出典:Journal of Biomechanics, 2020. Maniar N., et al.

  • 目的:ハイ・インパクト動作時に生じる膝関節圧迫力に対する各筋の寄与度を明らかにすること。
  • 方法:対象は健常成人男性8名であった。シングルレッグ・ホップ・カッティングを課題動作として設定し、動作時の身体運動・床反力・筋活動量を3次元動作解析装置・床反力計・表面筋電図を用いて計測した。計測されたデータを基に筋骨格モデル・シミュレーションを実施し、動作時の膝関節の外側・内側関節面の圧迫力を算出した。
  • 結果:1)広筋群と腓腹筋内側頭は外側・内側の膝関節圧迫力の増加に大きく寄与すること、2) 大殿筋・中殿筋は内側圧迫力を増大、外側圧迫力を軽減させること、3) ヒラメ筋・腓腹筋外側頭は内側圧迫力を軽減、外側圧迫力を増大させること、の3点が明らかとなった。
  • 結論:本研究の結果より、広筋群・腓腹筋・大殿筋・中殿筋・ヒラメ筋は膝関節圧迫力に寄与する重要因子であることが明らかとなった。先行研究において、動作時の膝関節圧迫力は高いほど関節の安定性が高まることが報告されている。一方で、高すぎる膝関節圧迫力は変形性膝関節症の発症・進行リスクを高めてしまうことも報告されている。そのため、本研究の知見は動作時の膝関節圧迫力を最適化するための一助となることが考えられた。