5/11 勉強会

【研究報告】

担当:松澤

タイトル:浅指屈筋の各指の起始部構造

  • 目的:浅指屈筋(FDS)は肘外反制動機能に最も重要とされているが、エクササイズの方法に関する報告は少ない。FDSは肘尺側側副靭帯前斜走線維(AOL)から起始するという報告や他の前腕屈筋群と共同腱を構成すると報告されている。また、前腕屈筋群は共同腱を介して腕尺関節に力を伝達すると考えられている。しかし、近位部においてFDSの各指の起始部構造とAOL、共同腱の関係については不明である。本研究の目的は、FDSの各指の起始部構造とAOL、共同腱との関係を明らかにすることとした。
  • 方法:対象はホルマリン固定遺体20肘とした。FDSの各指の停止腱を手関節部で切断し、近位部へ反転し起始部を観察した。
  • 結果:3・4指は全例で橈骨・前方共同腱(ACT)・後方共同腱(PCT)から起始し1つの筋腹を構成し、3・4指に分岐した。一方、2・5指には違いが認められ、ACT・PCT・AOLから筋線維が起始し、2・5指に分岐するType(18肘)と、ACTと連続する腱から筋線維が起始し2指の停止腱、ACT・PCT・AOLから起始した筋線維が5指の停止腱となるType(2肘)が認められた。
  • 考察:AOLからFDSの2・5指または5指単独が起始していたが、3・4指は起始していなかった。よって、2・5指または5指単独の収縮はAOLに張力を生じさせる可能性が示された。

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Electrical stimulation over human posterior parietal cortex selectively enhances the capacity of visual short-term memory

出典:Sisi Wang, Sirawaj Itthipuripat, Yixuan Ku. The Journal of Neuroscience. 39(3):528-536.

  • 目的:後頭頂皮質(PPC)に対してanodal tDCSが視覚性短期記憶の記憶容量と精度に与える影響を検証する.
  • 方法:健常成人20名の左PPCに対してanodal tDCSを15分間与えた後に,モニター上に提示されたバーの方位を記憶する短期記憶課題を実施し,刺激前後の記憶容量と精度を比較・検討した.
  • 結果:左PPCに対するanodal tDCSは短期記憶容量を増大させるが,記憶精度には影響をもたらさなかった.
  • 結論:左PPCに対するanodal tDCSは視覚性短期記憶容量を増大させる非侵襲的な刺激法になる可能性を示唆した.