中村雅俊先生(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,バイオメカニクス分野のトップジャーナルである『Journal of Biomechanics』に採択されました!!
研究内容の概要:
関節や筋の柔軟性を改善させるためにストレッチングはスポーツやリハビリテーションの現場で用いられることが非常に多いです.これまでストレッチングが関節の柔軟性に及ぼす影響については,一週間に5分(300秒)以上行うことが有効であると述べられていました.しかし,実際にストレッチングを行う上で,一回のストレッチングで5分間(300秒)まとめてストレッチングした方が良いのか?それとも分けて行った方が良いのかは不明でした.そこで本研究では,1週間のストレッチングの時間を5分間(300秒)と統一して,週に1回で5分間(300秒)行う群と週に3回2分間(120秒)行う群で関節の柔軟性と筋の硬さに与える影響を検討しました.その結果,6週間の介入により週3回行った群では関節の柔軟性は有意に増加し,筋の硬さは有意に減少しました.一方.週1回介入群では,どちらの指標も有意には変化しませんでした.この結果より,1週間に合計5分間(300秒)のストレッチングを行う場合,一回でまとめて行うのではなく,コツコツ小分けにしてストレッチング介入を行う方が有効であることが示されました.本研究の成果は「Journal of Biomechanics」に掲載予定です.
研究者からのコメント:
本研究は,ストレッチングの介入する頻度(1週間で何回行うのか?)という事に着目した研究です.今回の結果は,週に一回,まとめてストレッチングをするよりも,一回のストレッチング時間は短くても良いので,その分,こまめにストレッチング介入を行う方が関節や筋の柔軟性を改善するには有効であることがわかりました.この結果は,今後,スポーツやリハビリテーション現場でストレッチングを行っている人たちに非常に有益な情報となることが期待できます.
本研究成果のポイント:
①1週間のストレッチング時間を同じにしてストレッチング介入頻度の影響を検討した点
これまでのストレッチングの有効な介入頻度を検討した報告は,1週間のストレッチング時間が統一されていないという欠点がありました.そのため,本研究では1週間のストレッチング時間を統一した状態でストレッチング介入頻度の影響を検討しました.
②関節の柔軟性(関節可動域)だけではなく筋の硬さについての効果を検討した点
ストレッチング研究の多くは関節の柔軟性のみを測定することが多かったのですが,本研究ではBiodexという機械と超音波画像診断装置を用いて筋の硬さを測定し,ストレッチング効果を検討しました.
原著論文情報:
Nakamura M, Sato S, Hiraizumi K, Kiyono, Fukaya T, Nishishiata S. Effects of static stretching programs performed at different volume-equated weekly frequencies on passive properties of muscle-tendon unit. Journal of Biomechanics. [in press]