10/28 勉強会
【研究報告】
担当:高林
タイトル:正常足と扁平足の足部アライメントの違いがランニング中の膝蓋大腿関節ストレスに与える影響
- 目的:扁平足は膝蓋大腿関節症を好発することがわかっているが,なぜ扁平足がPFPに起因するかは明らかになっていない.本研究はPFPに関与するとされている膝蓋大腿関節ストレス(PFJS)に着目し,正常足と扁平足の足部アライメントの違いがランニング中のPFJSに与える影響について検証した.
- 方法:対象は健常成人男性の正常足10名と扁平足10名とした.検者間の再現性が認められているFoot posture indexを用いて,スコアが0~+5を正常足,6以上を扁平足として分類した.先行研究に準じて,膝関節角度と膝関節モーメントの値をもとに大腿四頭筋のレバーアーム,大腿四頭筋張力,PFJ圧迫力,膝蓋骨と大腿骨の接触面積を求め,最終的にPFJ圧迫力を接触面積で除すことでPFJSを計算した.また,PFJSに影響を与えるランニング速度,足部接地角度も計算した.
- 結果:ランニング速度と足部接地角度において,正常足と扁平足間で有意差は認められなかった(それぞれp = 0.24, p = 0.14).また,扁平足におけるランニング中のPFJS(16.8 ± 3.1 N/mm2)は,正常足(14.2 ± 1.5 N/mm2)と比較して有意に高値を示していた(p = 0.02).
- 結論:本研究より,扁平足は正常足と比較してランニング中のPFJSが有意に増加していたため, PFJSの増加が扁平足のPFPの発生に関与している可能性が考えられた.しかし,本研究は横断的な研究であるため,今後は縦断的な研究として検証していく必要がある.
【文献抄読】
担当:大鶴
タイトル:Sleep recalibrates homeostatic and associative synaptic plasticity in the human cortex
出典:Kuhn et al., Nature communications, 2016, 7, 12455
- 目的:断眠が皮質脊髄路の興奮性とLTP様の可塑的変化に及ぼす影響を調べる。
- 方法:通常睡眠と断眠群において、皮質脊髄路の興奮性および連合性対刺激法(PAS)による可塑的変化の違いを検討した。
- 結果:断眠群では、皮質興奮性の増大を認めた一方で、PASによる可塑的変化誘導効果が反転した(興奮性増大目的のPASが興奮性を減弱させた)。
- 結論:睡眠は、興奮性をダウンスケールし、可塑的変化に対する能力をrenewするというhappy mediumモデルに合致した結果であった。