9/30 勉強会

【研究報告】

担当:山﨑

タイトル:一過性有酸素性運動が一次体性感覚野抑制作用と体性感覚時間弁別能に与える影響

  • 目的:一過性の有酸素性ペダリング運動が、一次体性感覚野 (S1)抑制作用および体性感覚時間弁別能に与える影響を明らかにすること.
  • 方法:健常若年者15名を対象に、一次体性感覚野抑制作用を計測する実験1と、体性感覚時間弁別能を計測する実験2を行った.実験1では2連発抑制 (PPI)を用いて運動効果を評価した.また、実験2では体性感覚時間弁別課題 (STDT)を用いた.いずれの実験も、20分の中等度運動、30分の低強度運動、30分の座位安静を介入として用いた.介入の前後に各測定を行った.
  • 結果:実験1より、中等度運動後に刺激間隔30msのPPIが減弱することが確認された.一方、実験2より、いずれの強度の運動でも時間弁別閾値は変化しないことが確認された.低強度運動条件において、運動40分後の時間弁別閾値の変化と刺激間隔5msのPPIの変化に有意な負の相関がみられた.すなわち、PPIが減弱する被験者ほど弁別閾値が改善した.
  • 結論:一過性中等度運動はS1抑制作用を減弱させたが、体性感覚時間弁別能はいずれの強度の運動でも有意に改善しなかった.低強度運動によるPPI減弱の程度は、時間弁別能の改善程度と関連していた.

 

【文献抄読】

担当:松澤

タイトル:Medial Elbow Anatomy: A Paradigm Shift for UCL Injury Prevention and Management

出典:Hoshika et al .Clinical Anatomy . 2019 ; 32 ( 3 ) : 379 – 389

  • 目的:近年,野球選手における肘尺側側副靭帯(UCL)再建術数が増加している.UCL再建術は長期間の治療を要するため保存療法や評価の改善が重要である.そのためには,UCLや肘屈曲回内筋群の構造が重要であるが,それらの解剖学的な関係性はいまだ明らかになっていない.よって,肘関節内側の構造を肉眼的・組織学的に検討することとした.
  • 方法:日本人固定遺体16体24側を対象とした.肉眼的に筋線維と起始腱の構造を検討し,それらの組織学的検討も行った.
  • 結果:浅指屈筋と円回内筋の間,浅指屈筋と尺側手根屈筋の間にそれぞれ腱性中隔がぞ存在した.また,腱性中隔は,上腕筋腱,浅指屈筋深層腱膜,尺側手根屈筋深層腱膜と結合して腱複合体となり,腕尺関節を跨いだ.
  • 結論:肘内側には腱複合体が存在した.腱複合体の一部がいわゆるUCLの前斜走線維であると考えられる.