運動による認知機能向上効果には個人差がある.成績が低い人ほど運動効果は大きい!!
山﨑雄大(博士過程2年,スポーツ神経生理学Lab.,運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!
要旨
山﨑らは、一過性の有酸素性運動による認知機能の改善効果が被験者の元々の認知機能に依存することを明らかにしました.元々の認知機能が低い被験者ほど、運動後に認知機能が改善することが分かりました.
本研究は電子ジャーナル『PLOS ONE』に公開されました.
研究者からのコメント
これまでの研究は、運動が認知機能を改善させるかどうかに焦点を当てた研究が多く、運動効果の個人差については着目されてきませんでした.本研究では、課題成績の低い被験者ほど運動による成績の改善が生じるという結果を得ることができました.今回の研究で得られた結果は、どのような人が運動効果を得られやすいのかを追求していくための足掛かりになると思われます.
本研究成果のポイント
1. 10分の低強度・中等度運動が認知機能を改善させるか、そしてその個人差を、ワーキングメモリー課題を用いて検討しました(図1).
図1. 実験で用いたワーキングメモリー課題
2. 低強度運動でも、中等度運動でも、運動前後で認知課題成績に有意な変化はありませんでした(図2).
図2. 各実験条件でのワーキングメモリー課題の反応時間の推移
3. いずれの強度の運動も、運動前の課題成績が低い被験者ほど運動後の成績が改善することが明らかになりました(図3).
図3. 運動介入前の課題成績と運動前後の成績変化の関係
原論文情報
Yamazaki Y, Sato D, Yamashiro K, Tsubaki A, Takehara N, Uetake Y, Nakano S, Maruyama A. Inter-individual differences in working memory improvement after acute mild and moderate aerobic exercise. PLoS One. 2018;13(12):e0210053. doi: 10.1371/journal.pone.0210053.