1/7 勉強会

【研究報告】

担当:中野

タイトル:有酸素性運動が空間記憶トレーニングに与える影響

  • 目的:実験1リカンベントエルゴメーターを用いた中等度有酸素性運動によって,AlphaおよびBeta oscillationを増大させることができるか否かを検証すること.実験2 リカンベントエルゴメーターを用いた事前の中等度有酸素性運動が,空間記憶トレーニングのプレコンディショニングとして有用であるか否かを検証すること.
  • 方法:実験1 運動試技とコントロール試技の2試技を実施し,介入前後,10分後,20分後および30分後に脳波の計測を行った.Fp1,Fp2,Fz,Cz,Pz,Ozを測定領域とした.実験2 運動群,対象群とし,介入後に空間記憶課題10セットをトレーニングとして行い,トレーニング15分後,30分後,45分後,60分後および1日後に再度同課題を行った.実験1,2共に運動は事前に測定したVO 2peak の50%強度で20分間のペダリング運動とした.二次元気分尺度(TDMS)を用いて覚醒度の評価も同時に行った.
  • 結果:実験1 Alpha oscillationは,測定した全ての領域で運動後10分まで活動の増大が認められた.Beta oscillationは,CzとPzのみで運動後10分まで活増の増大が認められた.覚醒度は,運動直後および3分後に運動試技で高値を示した.実験2 空間記憶課題の反応時間は,運動群において,トレーニング1回目と比較して,トレーニング8回目,9回目,トレーニング15分後,30分後,45分後,60分後,24時間後で有意に短縮した.対象群は,トレーニング1回目と比較して,トレーニング9回目,トレーニング60分後,24時間後で有意に短縮した.
  • 結論:事前の中等度有酸素性運動が空間記憶トレーニング効果を促進し,さらにその効果を少なくとも1日後まで維持させることが明らかとなった.

 

【文献抄読】

担当:小島(将)

タイトル:Dose-Response Relationship between Exercise Duration and Executive Function in Older Adults.

出典:Chen et al. J Clin Med. 2018;7(9). pii: E279. doi: 10.3390/jcm7090279.

  • 目的:高齢者のタスク切り替え機能への急性中強度運動の効果と運動時間とタスク切り替え機能の用量反応関係を明らかにすること.
  • 方法:対象は地域高齢者45名(57.7±5.1歳)とし,各被験者に運動10分,20分,45分と読書30分の計4条件を実施した.実験は5分のウォーミングアップ,各条件の運動または読書,5分のクールダウン,25分のタスク切り替え課題の順に行った.運動強度は予測最大心拍数の65%~70%強度とした.タスク切り替え課題は反応時間および正答率を測定し,各条件で運動後の課題成績を比較した.
  • 結果:反応時間は読書30分,運動10分と比較し,運動20分で有意に低値を示した.正答率はすべての条件で有意な差を示さなかった.
  • 結論:高齢者への急性中強度運動の急性効果が認められ,今回の実験条件では20分の運動時間がタスク切り替えに最も効果的であることが示唆された.