12/17 勉強会
【研究報告】
担当:齊藤
タイトル:一次体性感覚野への経頭蓋電気刺激が触覚方位弁別能力および一次体性感覚野への抑制機能に及ぼす影響
- 目的:一次体性感覚野に対する陽極経頭蓋直流電気刺激(tDCS)および経頭蓋交流電流刺激(tACS),経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS),陽極経頭蓋パルス電気刺激(tPCS)が一次体性感覚野の抑制機能と触覚方位弁別能力に及ぼす影響を検証すること.
- 方法:対象は健常成人男性17名とした.左一次体性感覚野に対して陽極tDCS,tACS(140 Hz),tRNS(1-640 Hz),陽極tPCSおよびsham刺激を与え,刺激前後でN20_SEP-PPDとN20_SEP amplitude,触覚方位弁別閾値を計測・比較した.
- 結果:陽極tDCSおよび陽極tPCS後にN20_SEP-PPDが有意に減弱し,tRNS後にfirst N20_SEP amplitudeが有意に増大した.また,tRNSおよび陽極tPCS後に触覚方位弁別閾値が有意に低下した.
- 結論:tRNSは一次体性感覚野の活動性を増大することで触覚方位弁別能力を向上させ,陽極tPCSは一次体性感覚野における抑制機能を減弱することで触覚方位弁別能力を向上させることが示唆された.
【文献抄読】
担当:大鶴
タイトル:Identifying and Engaging Neuronal Oscillations by Transcranial Alternating Current Stimulation in Patients With Chronic Low Back Pain: A Randomized, Crossover, Double-Blind, Sham-Controlled Pilot Study.
出典:Ahn et al. J Pain. 2018 pii: S1526-5900(18)30642-4. doi: 10.1016/j.jpain.2018.09.004.
- 目的:慢性疼痛患者においてthalamo-cortical dysrhythmiaと呼ばれる現象が報告され、ある特定の周波数帯域活動が健常者とは異なることが知られている。そこで慢性腰痛患者を対象に、症状と関連する脳律動を探索し、tACSによる介入によって症状が変化するかを検討することを目的とした。
- 方法:脳波計による安静時脳活動記録を行い、症状と相関する領域および周波数を同定し、その後tACSによる介入によって症状が変化するかを検討した。
- 結果:感覚運動野領域のα帯域活動が低いほど、痛み強度およびADL障害が強いことが示された。また、その領域に対してα帯域tACSを行うと、αパワーが増大した対象者ほど症状の軽減が生じた。
- 結論:脳波を用い、症状と関連する脳律動同定、tACSによる介入によって、症状を軽減させうることが示唆された。