11/5 勉強会

【研究報告】

担当:横田

タイトル:至適な二点識別覚検査方法の解明

  • 目的:異なる刺激速度,刺激量(深さ)を用いて網羅的に二点識別覚閾値を探索することで,至適な二点識別覚検査方法を解明することとした.
  • 方法:本研究では,刺激速度,刺激量等をコンピュータ上で任意の値に制御でき二点式触覚刺激装置(特注)を用い,刺激速度:1.0 mm/s, 5.0 mm/s, 10 mm/s, 20 mm/sの4条件,刺激量:0.5 mm, 1.0 mm, 2.0 mmの3条件をそれぞれ用意し,0.5 mm~4.5 mmの9条件の2点刺激と1点刺激に対し,1点か2点を回答させることで二点識別覚閾値を測定した.二点間距離に対する正答率をプロットしロジスティック回帰分析を行い,得られた心理物理曲線から50%閾値を算出た.また,同様に算出した75%閾値と25%閾値の差から弁別感度を求めた.さらに,一定の刺激速度,刺激量での反復によって72回の二点識別覚検査を4セット行い,検査の反復による影響を確認した.
  • 結果:刺激速度条件においては1.0 mm/sに対して5.0 mm/sと10 mm/sで有意に低い閾値を示し,刺激量条件では0.5 mmに対して1.0 mmで有意に低い閾値を示した.弁別感度に関しては条件間で有意差は認められなかった.また,検査の反復による二点識別覚閾値の変動は認められなかった.
  • 結論:二点識別覚検査において,刺激速度10 mm/s, 20 mm/s,刺激量1.0 mmが最も閾値が低下する至適な刺激条件であることが示唆された.

【文献抄読】

担当:椿

タイトル:Feedforward- and motor effort-dependent increase in prefrontal oxygenation during voluntary one-armed cranking

出典:Ishii et al. J Physiol. 2018;596(21):5099-5118.

  • 目的:運動に先行するフィードフォワードおよび運動強度依存的な前頭前野の活動を計測し,セントラルコマンドの発現に関与する領域を同定すること.
  • 方法:右上肢での60秒間のクランク運動を,随意運動と他動運動で実施し,運動開始前から終了までの酸素化ヘモグロビンを近赤外線分光法により計測.
  • 結果:運動開始時の酸素化ヘモグロビンは,背外側前頭前野の外側と背側,腹外側前頭前野,感覚運動皮質で増加し,60秒間の運動ですべての領域で徐々に増加.自覚的運動強度と右背側の背外側前頭前野,右腹外側前頭前野,前頭頭頂領域との間に有意な正の相関.
  • 結論:右外側背外側前頭前野,右腹外側前頭前野は,フィードフォワード・運動努力依存的に活動する.