10/15 勉強会

【研究報告】

担当:濵上

タイトル:不活動性疼痛のメカニズムと治療

  • 目的:不活動性疼痛モデルラットを用い、そのメカニズム解明と治療戦略の開発を目指す。
  • 方法:ラット足関節をギプスで不動化したモデルラットに対し、痛覚閾値の測定をおこなった。また免疫組織学的手法を用いて、皮膚・脊髄後角における疼痛関連物質の測定をおこなった。また不動側足底部に振動刺激を負荷し、その鎮痛効果を検証した。
  • 結果:不動2週目から痛覚閾値の低下を認め、これは不動期間に依存して重症化した。また、足底皮膚におけるNGFの増加や脊髄後角におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の増加が認められた。不動直後からラットの足部に振動刺激を負荷すると痛覚閾値の低下を軽減できるとともに、脊髄後角におけるCGRPの発現増加も抑制した。
  • 結論:不活動性疼痛の発生メカニズムにはNGFやCGRPが関与しており、その治療法として振動刺激の負荷が有効である可能性が示唆された。

 

【文献抄読】

担当:下門

タイトル:Shared and task-specific muscle synergies of Nordic walking and conventional walking

出典:G. Boccia, C. Zoppirolli, L. Bortolan, F. Schena, B. Pellegrini. Scand J Med Sci Sports. 2018; 28: 905–918.

  • 背景:ノルディックウォーキング(NW)は上肢を使う歩行運動で、複雑な協調運動が必要だと考えられる。近年、筋の協調性の評価に筋シナジーが用いられてきており、歩行について報告されている。
  • 目的:通常歩行と比較して、NWの筋協調に及ぼす影響を調査する。
  • 方法:NW指導者9名を対象者とし、トレッドミル上でNWと通常歩行時の筋活動を計測した。下肢8筋と上体7筋の表面筋から筋電図を得て、NNMFという方法で筋シナジーを抽出した。
  • 結果:NWでは、ポールで推進力を得るための活動が上肢に見られた。また、ポール支持によって股関節の屈筋活動を減衰させていた。筋シナジー数は両試技で変わらずどちらも5つの筋シナジーが抽出された。特に4つの筋シナジーは両試技で共通しており、1つの筋シナジーは上肢特異的であった。
  • 結論:NWはより複雑な動作が求められるものの、下肢と体幹の筋シナジーは通常歩行と共通していた。一方、ポール動作で上体の筋シナジーが影響を受け、これは上肢で推進するという課題特異的な筋シナジーが要求されることを示している。