9/24 勉強会
【研究報告】
担当:中村(絵)
タイトル:中学硬式野球選手における肩肘痛の有無と身体機能の特徴
- 目的:肩肘痛のない中学硬式野球選手と肩肘障害を有する選手の身体機能の違いについて検討する
- 方法:メディカルチェックに参加した中学硬式野球選手109名を対象とした.超音波検査および理学所見より肩肘痛の有無を評価し,疼痛あり群,なし群にわけ関節可動域,柔軟性,筋力,下肢バランス機能を比較検討した.
- 結果:肩肘痛を有する選手は健常群と比較し,肘関節屈曲可動域制限および肘関節伸展の左右差の増大が認められた.また肩内旋・外旋筋力が低下している傾向も認められた.さらに,障害別にみると上腕骨小頭離断性骨軟骨炎を有する選手において肩痛や肘内側障害群にくらべ有意に肘関節屈曲可動域の減少が認められた.上腕骨近位骨端線障害を有する選手では,他の障害と比較し,肩後方タイトネスが増大していた.
- 結論:中学硬式野球選手における肩肘痛障害の有無による身体機能の特徴を検討した結果,肘障害を有する選手と肩障害を有する選手では異なる身体機能の特徴を呈していることが明らかとなった.今後は,前向きに調査し,障害発生と機能の関係について検討が必要である.
【文献抄読】
担当:正木
タイトル:Cortical activation and inter-hemispheric sensorimotor coherence in individuals with arm dystonia due to childhood stroke.
出典:Kukke et al., Clin Neurophysiol. 2015;126(8):1589-98.
- 目的:本研究の目的は,幼少期に発症したジストニアを有する脳卒中患者において脳波を使用し,安静中,運動課題中での感覚運動野のパワースペクトル,半球間コヒーレンスを評価した.これらの指標と麻痺側上肢の臨床指標,背屈筋力との関連を検討した.
- 方法:対象は健常群9名,ジストニア群7名とした.脳波を使用して安静中でのC3,C4のパワースペクトル,C3,C4間のコヒーレンスを算出した.また,これらの各指標において,安静中から手関節背屈による運動課題中への変化率を算出した.
- 結果:安静中でのコヒーレンスは健常群よりもジストニア群で低下していた.ジストニア群において,安静中でのコヒーレンスの低下は麻痺側上肢の臨床指標の低下と関連していた.また,障害側半球において,麻痺側の手関節背屈による運動課題中へのパワースペクトル変化率は,健常群よりもジストニア群で低下していた.ジストニア群の障害側半球において,麻痺側手関節背屈による運動課題中へのα帯域パワースペクトル変化の欠如は,手関節背屈筋力の低下と関連していた.
- 結論:幼少期の脳卒中によって発症したジストニアには大脳皮質の活動が関連していることが明らかとなった.