8/27 勉強会

【研究報告】

担当:宮口

タイトル:一次運動野および小脳半球へのtACS中の運動遂行能力の変化‐刺激強度の違いによる効果検証‐

  • 目的:一次運動野領域および小脳皮質領域へのtACS中の運動遂行能力の変化が刺激強度に依存するかどうかを明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人20名であった.tACSの刺激周波数は70Hzとした.刺激時間は30秒間とした.刺激部位は左一次運動野領域および右小脳半球領域とした.刺激条件は,①1.0 mAの強度で刺激する条件,②2.0 mAの強度で刺激する条件,③疑似刺激条件の3条件とした.各条件介入中に右示指外転運動による視覚追従課題の成績を評価した.
  • 結果:1.0 mA条件,2.0 mA条件ともに視覚追従課題の1セット目においては,疑似刺激条件のエラーが大きい人ほど刺激によりエラーが減少する関係性が認められた(p<0.05).しかし,2セット目においては同様の関係性は認められなかった.また視覚追従課題のエラーは1セット目に比べ2セット目に低値を示した(p<0.01).
  • 結論:一次運動野領域および小脳皮質領域をγ帯域の周波数で同時刺激することにより,視覚追従課題の成績が低い人ほど,成績が向上する可能性が示唆された.またその効果は刺激強度には依存せず,エラーの大きい期間に有効である可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:柳

タイトル:The effect of positive sagittal spine balance and reconstruction surgery on standing balance

出典:Gottipati et al. Gait Posture. 2018;62:227-234.

  • 目的:矢状面上における脊椎病変やPositive Sagittal Spine Balance:PSSB(第7頸椎が第1仙椎の前方4㎝以上に位置する)を有する場合,立位バランスに悪影響を与える可能性がある.しかし,脊柱再建術前・後でのバランス能力については定量化されていない.本研究ではPSSBを有し脊柱再建術を行う者に対して,静的立位時の足圧中心移動と下肢関節可動域に及ぼす影響を手術前後で比較した.
  • 方法:本研究はPSSBにより7㎝以上の矯正を必要とし,脊柱再建術が実施される被験者が参加した.課題は,20秒間の静的立位時の足圧中心移動距離と下肢関節角度(股・膝・足関節)のデータを術前・術後6-12ヶ月・24ヶ月に分析した.
  • 結果:脊柱再建手術は、PSSBを矯正した。再建術後の経過において前後及び内外側方向の足圧中心点の振幅は有意に減少し,前方 – 後方(p <0.009、F = 7.01)及び内側 – 外側方向(p <0、F = 12.30)の両者おいて姿勢の揺れに影響を及ぼした。下肢関節角度は股関節(p <0、F = 17.01)および膝関節の(p <0、F = 32.23)屈曲角度が有意に減少したことが明らかとなった.
  • 結論:脊椎疾患患者におけるPositive Sagittal Spine Balance (PSSB)は脊椎再建術により矯正された際,COP振幅と下肢関節角度を変化させる.