指先へ電気刺激を与えることで感覚機能が変化し,その効果には感覚機能を司る一次体性感覚野の抑制機能の変化が関与することを解明!
齊藤 慧助教(理学療法学科・運動機能医科学研究所)らの研究論文が『Neuroscience』に採択されました.
研究の概要と齊藤助教からのコメントは以下の通りです.
≪研究内容の概要≫
我々は指先に電気刺激を与えたときに感覚機能がどのように変化し,その効果にはどのようなメカニズムが関与しているのかを検討しました.電気刺激前に感覚機能が低下しているほど,電気刺激によって感覚機能が向上すること,電気刺激によって感覚機能が向上する背景には感覚機能を司る一次体性感覚野の抑制機能が減弱することが明らかになりました.
本研究成果は,2018年5月22日に国際電子ジャーナルの「Neuroscience」に受理されました.
≪研究者からのコメント≫
電気刺激は運動機能の改善を目的にリハビリテーション分野で広く用いられている治療法のひとつです.本研究では電気刺激が運動機能のみではなく,一次体性感覚野の抑制機能を変化させることで感覚機能にも変化を与えることが明らかになりました.今後,脳卒中などを対象とした臨床研究が進むことで感覚機能障がいを治療するためのリハビリテーション手法へと発展する可能性があります.
≪本研究成果のポイント≫
1.刺激前の感覚機能が低いほど,電気刺激を与えることで感覚機能が向上することを実証しました.
2.電気刺激によって感覚機能が向上したグループでは,一次体性感覚野の抑制機能(N20_SEP-PPD)が減弱することを明らかにしました.
3.感覚機能が向上するグループにおいて,電気刺激によって一次体性感覚野の抑制機能が減弱するほど,感覚機能が向上することが明らかになりました.
≪原論文情報≫
Kei Saito, Naofumi Otsuru, Yasuto Inukai, Sho Kojima, Shota Miyaguchi, Shota Tsuiki, Ryoki Sasaki, Hideaki Onishi. Inhibitory mechanisms in primary somatosensory cortex mediate the effects of peripheral electrical stimulation on tactile spatial discrimination. Neuroscience. In press