6/11 勉強会
【研究報告】
担当:菊元
タイトル:慢性足関節不安定症における足関節底屈角度変化による離開率の定量的評価
- 目的:慢性足関節不安定症 (CAI) はスポーツ活動を行う上で大きな支障となるが,その要因となる構造的不安定性評価が定量的に行われていない.そこで本研究は,足関節底屈角度の変化による,腓骨外果-距骨間離開率を定量的に評価することを目的とした.
- 方法:大学生84名194足を対象に,Telos Stress Deviceを用い一定の負荷量による前方引き出しストレスと内反ストレスを行い,足関節底屈0°,20°,45°,最大底屈位の各角度で腓骨外果-距骨間の撮影を行った.解析方法は,個体差を考慮し,[(ストレス時-安静時/安静時)×100] (%) を離開率として算出した.
- 結果:前方ストレス時の離開率は,男女共に足関節底屈20°と45°,最大底屈位においてCAI群が有意に高値を示した(P<0.05).一方,内反ストレス時の離開率は,男性の足関節底屈0°と20°においてCAI群が有意に高値を示した(P<0.05)が,女性は各角度で有意差を認めなかった.
- 結論:前方引き出しテストは,足関節底屈20°と45°,最大底屈位が有用である可能性が示唆された.また内反ストレステストは,男性において足関節底屈0°と20°で有用である可能性が示唆されたが,女性において,足関節底屈位での内反安定性は,自覚的症状と構造的不安定性に関与しない可能性が示唆された.
- 今後:足関節内反制動に寄与している他の外側靭帯にも着目し,CAIにおける構造的不安定性の要因を探りたい.
【文献抄読】
担当:中村(雅)
タイトル:Effect of the flexibility training performed immediately before resistance training on muscle hypertrophy, maximum strength and flexibility.
出典:Junior et al. Eur J Appl Physiol. 2017;117(4):767-774.
- 目的:レジスタンストレーニング介入直前の柔軟性トレーニング(ストレッチング)が筋肥大および筋力増強,柔軟性に及ぼす影響を検討すること
- 方法:9名の健常成人の両側の大腿四頭筋を対象とし,無作為にレジスタンストレーニングのみ側(RT)とレジスタンストレーニング直前に柔軟性トレーニングを行う側(FLEX-RT)に群分けを行った.レジスタンストレーニングは80%1RMの負荷を用いて,疲労困憊になるまでを1セットとし,それを4セット実施し,FLEX-RTはこのレジスタンストレーニング前に25秒間のストレッチングを2回行った.10週間,週2回の介入を行う前後の1RM,外側広筋の筋断面積,膝関節屈曲可動域の測定を行った
- 結果:RT側はFLEX-RT側と比較して,疲労困憊になるまでのRT回数が有意に多かった.また,筋断面積は,両側とも有意な変化が認められ,RT側の方がFLEX-RT側と比較して大きな筋肥大効果が生じた.一方,1RMは両側とも有意な増加を示し,その変化には差は認められなかった.また膝屈曲可動域はFLEX-RT側のみ有意な増加を認めた.
- 結論:レジスタンストレーニング前の柔軟性トレーニングは,レジスタンストレーニングの回数を減衰させ,筋肥大効果が減少することが明らかとなった.