5/28 勉強会
【研究報告】
担当:正木
タイトル:若年腰痛既往者における四つ這い位での上下肢挙上中の背部筋筋活動および姿勢アライメントの分析
- 目的:本研究の目的は,若年腰痛既往者を対象に,四つ這い位での上下肢挙上中の背部筋の筋活動量および姿勢アライメントを分析することとした.
- 方法:対象は若年男性17名とし,健常群9名,腰痛既往群8名に群分けした.四つ這い位で対角線上に上下肢を挙上し,この肢位にて表面筋電図を使用して上肢挙上側,下肢挙上側での腰部多裂筋,広背筋・胸部脊柱起立筋,腰部脊柱起立筋の筋活動量を測定した.また,6 自由度3次元磁気センサーを用いて,この肢位における矢状面での上位胸椎後彎角度,下位胸椎後彎角度,腰椎前彎角度を測定した.腰痛既往と関連する要因を検討するために,腰痛既往を従属変数,上肢挙上側,下肢挙上側での背部筋の筋活動量,姿勢アライメント,年齢,身長,体重を独立変数とした,変数増加法による多重ロジスティック回帰分析を行った.
- 結果:腰痛既往との関連において,多重ロジスティック回帰分析で抽出された要因は,下肢挙上側での広背筋・胸部脊柱起立筋の筋活動量,身長であった.腰痛既往群は健常群よりも下肢挙上側での広背筋・胸部脊柱起立筋の筋活動量が高く,身長が高かった.
- 結論:若年腰痛既往者において,四つ這い位での上下肢挙上中に腰部多裂筋の筋活動量減少や過剰な腰椎伸展は生じていないが,広背筋・胸部脊柱起立筋といった体幹表面筋の筋活動量が増加していることが示唆された.
【文献抄読】
担当:中村(絵)
タイトル:Changes in Lower Extremity Kinematics and Temporal Parameters of Adolescent Baseball Pitchers During an Extended Pitching Bout.
出典:Kung et al. Am J Sports Med. 2017;45(5):1179-1186.
- 目的:成長期野球投手の連続投球における下肢キネマティクスの変化および疲労による投球パフォーマンスの変化を検討すること
- 方法:投球時痛のない成長期野球選手(投手)12名に対し,試合を模した状況下での投球を計90球実施させた.3次元動作解析装置を用い,投球動作中の下肢関節キネマティクスの測定および,投球パフォーマンスの評価として球速,コントロールの計測を行った.
- 結果:90球の投球後では,Baselineに比べ,有意に球速が低下し,ワイルドピッチの数が増加する傾向となった.また,投球時Balance positionにおいて,軸足の股関節内旋の増大,膝関節屈曲角度の増加が認められた.Foot contact時では,踏み込み足の股関節屈曲減少,股関節外転増大が認められた.
- 結論:連続投球により,投球パフォーマンスの変化に加え,投球動作時の下肢キネマティクスが変化することが明らかとなった.また,球速低下には,Balance positionからFoot contactまでの下肢キネマティクスの変化が関係する可能性が示唆された.