5/14 勉強会

【研究報告】

担当:柳

タイトル:誘導による上半身アライメントの変化が歩行中の下肢の関節運動に及ぼす影響

  • 目的:健常成人に対し上半身アライメントを前傾及び後傾位に誘導させた際,歩行中の下肢の関節運動に及ぼす影響をバイオメカニクス的に分析し明らかにする。
  • 方法:健常成人(脊柱及び下肢に障害や手術の既往がない者)に対し上半身アライメントの誘導を実施し(①通常,②前傾誘導,③後傾誘導)歩行.誘導試技は,ボールを身体の前方又は,後方で両上肢を内旋位にし左右の手背部で挟み込み5秒間ボールの中央を押すこととした.歩行時の分析対象範囲は一歩行周期とした.上半身アライメントの計測には,Spinal Mouse®を用い直立立位姿勢にて上半身アライメント誘導の歩行前後に測定した.歩行中の下肢の関節運動は電子角度計を用い,股関節・膝関節・足関節を測定した.
  • 結果:前傾誘導および後傾誘導歩行では,姿勢変化に対応するための下肢の代償運動が見られた.

 

【文献抄読】

担当:高林

タイトル:Biomechanical Factors Associated With Achilles Tendinopathy and Medial Tibial Stress Syndrome in Runners

出典:Becker et al. Am J Sports Med. 2017;45(11):2614-2621

  • 目的:本研究は健常者と比較してアキレス腱炎(AT)とシンスプリント(MTSS)が足部キネマティクスや下肢のアライメント,筋の柔軟性が異なるかを調べることを目的とした.
  • 方法:対象はAT 13名とAT control 13名,MTSS 8名とMTSS control 8名を対象とした.なお,走行距離,性別,足部接地パターンはグループでマッチさせた.MDあるいはDPTが下肢のアライメント,筋の柔軟性を計測した.ランニング動作を測定し,反射マーカー位置から後足部のキネマティクス,床反力の垂直成分と前後成分を算出した.ロジスティック回帰分析でどのパラメータが最も障害発生のpredictorになるかを検証した.
  • 結果:健常者と比較して,injuredは後足部の回内変位量と速度に有意差がなかったが,後足部の回内durationが有意に長かった.また,Heel off時の後足部回内角度が有意に増加し,脛骨内反角度が有意に増加,足関節背屈角度が有意に減少した.ロジスティック回帰分析の結果,後足部回内durationがinjuredグループの有意なpredictorとなった(odds比:1.08,p<0.05).
  • 結論:Injuredは健常者と比較して後足部の回内durationが有意に長かったため,回内durationが障害発生に関与することが示唆された.