2/19 勉強会
【研究報告】
担当:玉越
タイトル:脳出血後の早期リハビリテーションの効果に関する研究
- 目的:本研究は、脳出血後のトレッドミル走行の実施時期の違いが運動機能回復および中枢神経系に与える影響について検証した。
- 方法:実験群には、偽手術+非運動群、脳出血+非運動群、脳出血+超早期介入群、脳出血+早期介入群、脳出血+後期介入群を設けた。脳出血モデルラットは左線条体にコラゲナーゼを微量注入して作製した。早期介入群は術後2日目から8日目まで、後期介入群は術後9日目から15日目までトレドミル走行を11m/分で60分間実施した。運動機能評価を経時的に行い、術後16日目に脳組織を採取した。脳切片を作製してNissl染色を施し、損傷体積、大脳皮質の厚さ、神経細胞数の解析を行った。また,リアルタイムPCR法を用いて,IL-1b, TGF-b1, IGF-1を解析した。
- 結果:早期介入群は非運動群,超早期介入群,後期介入群と比較して運動機能障害が有意に改善した。早期介入群は、運動群,超早期介入群,後期介入群と比較して大脳皮質の萎縮が有意に抑制されていた。遺伝子解析から,早期介入群はIL-1bの発現を抑制していた。また,超早期介入群はIL-1bの発現を増加促進させ,TGF-b1, IGF-1の発現を抑制していた。
- 結論:脳出血後の早期介入には、炎症因子の発現抑制によって細胞死の減少を抑制した可能性が高い.また,超早期介入群は,炎症因子の増加促進を抗炎症因子・成長因子の発現抑制によって神経細胞死を促進させ運動機能回復を遅延させた可能性が高い.
【文献抄読】
担当:山﨑
タイトル:Exploring genetic influences underlying acute aerobic exercise effects on motor learning
出典:Mang et al. Sci Rep. 2017;7(1):12123.
- 目的:BDNF及びD2受容体の遺伝子多型の違いが、高強度運動による運動学習促進効果の個人差の要因であるか否かを明らかにすること.
- 方法:過去に実施した2つの実験データを用い、後ろ向き解析を行った.いずれの実験も高強度インターバル運動の後に学習課題を行い、さらに24時間後にリテンション課題を行うものとした.被験者のBDNF、D2受容体発現量に関する遺伝子多型と、学習時の技能獲得量、学習後の技能定着量の関係性を検証した.
- 結果: D2受容体が正常に発現するとされるglu/glu多型群では高強度運動によって技能定着が促進したが、D2受容体の発現が低下するとされるglu/lys、lys/lys多型群では技能定着は促進しなかった.一方、BDNF遺伝子多型と技能獲得、技能定着の促進については関連性が見られなかった.
- 結論:D2受容体発現に関する遺伝子多型の違いが、高強度運動による運動技能定着促進の個人差生み出す要因の一つであることが示唆された.