11/13 勉強会
【研究報告】
担当:宮口
タイトル:経頭蓋交流電流刺激介入中の運動遂行機能の変化
- 目的:経頭蓋交流電流刺激(tACS)を用いて一次運動野(M1)直上および対側小脳半球直上をガンマ帯域の周波数で刺激することにより,刺激中の運動遂行能力が向上するか否かを明らかにする.
- 方法:対象は健常成人20名であった.tACSの刺激強度は1.0 mAとし,刺激周波数は70 Hz(ガンマ帯域)および20 Hz(ベータ帯域)とした.刺激時間は30秒間とし,刺激条件は,①疑似刺激条件,②左一次運動野と右頬部を刺激する条件,③右小脳半球と右頬部を刺激する条件,④左一次運動野と右小脳半球を刺激する条件(M1-小脳条件)の4条件を設定した.各条件介入中に右示指外転運動による視覚追従課題を行い,tACS中の視覚追従課題の運動成績を比較した.
- 結果:ガンマ帯域のtACSを実施した結果,疑似刺激条件における運動成績とM1-小脳条件の運動成績に負の相関関係が認められ(p<0.05,r=-0.455),運動成績が低い被験者ほどM1-小脳刺激により運動機能が改善した.またベータ帯域のtACSでは運動成績の変化は認められなかった.
- 結論:運動成績が低い被験者に対して,ガンマ帯域のtACSをM1領域および小脳半球領域に与えることにより,刺激中の運動遂行能力が向上する可能性が示唆された.
【文献抄読】
担当:中村(雅)
タイトル:Changes in agonist neural drive, hypertrophy and pre-training strength all contribute to the individual strength gains after resistance training.
出典:Balshaw et al. Eur J Appl Physiol. 2017;117(4):631-640.
- 目的:筋力トレーニング介入における筋力増強効果に対する神経および構造的適応や筋力トレーニング介入前の筋力がどのように関与しているかを明らかにすること.
- 方法:28名の健常若年男性に12週間・週3回の筋力トレーニング介入を行い,神経適応(主動作筋の筋活動,拮抗筋の筋活動,)と構造的変化(筋体積,羽状角),初期の筋力値が筋力変化と関与しているかを検討
- 結果:筋力トレーニング介入における筋力の増加量と主動作筋の筋活動(r = 0.576, P = 0.001),筋体積(r = 0.461, P = 0.014)と初期の筋力値(r = -0.429, P = 0.023)には有意な相関関係が認められたが,拮抗筋の筋活動(r = 0.298, P = 0.123)および羽状角(r = -0.207, P = 0.291)とは有意な相関関係が認められなかった.また重回帰分析により,筋力変化の59.9%は主動作筋の筋活動(30.6%),筋体積(18.7%)および初期の筋力値(10.6%)で説明が出来ることが明らかになった.
- 結論:筋力トレーニング介入における筋力変化には神経および構造的適応や初期の筋力値が関連することが明らかになった.