10/30 勉強会

【研究報告】

担当:佐藤

タイトル:浸水後の脳律動活動と神経可塑性に及ぼす影響

  • 目的:浸水後の脳律動活動および神経可塑性の変化を明らかにすること.
  • 方法:15名の健常成人を対象に,15分間の浸水介入およびコントロール条件での計測を実施した.浸水条件は,水温35±1℃,腋下浸水とした.実験1では,脳波計を用いて,浸水前,浸水中,浸水直後~30分後までの神経活動を計測し,θ帯域のoscillationを評価した.実験2では,タイミング依存的な神経可塑性を誘導するPAS25のプロトコルを用いて,浸水後の可塑性を評価した.
  • 結果:浸水後に,θ-oscillationが高まり,PAS25による神経可塑性が強化された.
  • 結論:先行研究において,浸水後にコリン作動系が亢進することを確認している.本研究の結果を合わせて考えると,浸水が脳内コリン作動系を変化させる手法になる可能性があることが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:中村(絵)

タイトル:Movement Pattern of Scapular Dyskinesis in Symptomatic Overhead Athletes

出典:Huang et al. Sci Rep. 2017;7(1):6621.

  • 目的:異なる肩甲骨運動異常パターンを有するオーバーヘッドアスリートにおける肩甲骨の運動学および関連する筋活動を評価し,その特徴が運動異常のパターンに特異的であるかを解明すること
  • 方法:20-40歳までの片側性の肩痛およびScapular dyskinesisを有するオーバーヘッドアスリート134名を対象に,肩甲骨面での上肢挙上運動時の肩甲骨キネマティクスおよび肩甲骨周囲筋活動の評価を測定した.肩甲骨運動の異常パターンにより分類し,その特徴を主成分分析を用いて検討した.
  • 結果:下角の浮き上がりが生じるPattern Iにおいては,第一主成分として肩甲骨上方回旋,後傾,僧帽筋中部筋活動および僧帽筋下部筋活動が抽出された.これに対し,内側縁全体の浮き上がりが認められるPatten IIでは,僧帽筋上部,中部,および前鋸筋の筋活動が第一主成分として抽出された.
  • 結論:肩甲骨異常運動パターンにより,主成分の特徴が異なる結果であった.Patten IIdにおいて,内側縁の浮き上がりに対して,筋活動はStabilizerとして機能し,肩甲骨運動には補助的にのみ作用することが示唆された.