7/10 勉強会
【研究報告】
担当:菊元
タイトル:膝蓋骨可動量が膝内方変位量に及ぼす影響
- 目的:内外側方向への膝蓋骨可動量が,両脚着地時の膝内方変位量に及ぼす影響を定量的な評価で行うことを目的とする
- 方法:対象は,膝関節に整形外科的既往歴のない女子バスケットボール選手10名と,過去に初回膝前十字靭帯(ACL)再建術の既往があり,現在は競技復帰(Tegner activity score 7以上)をしている女子バスケットボール選手10名,計20名とした.膝蓋骨可動性測定器(松本義肢製作所)を用い,測定肢位は背臥位で股関節内外旋中間位とした.膝関節伸展位と30°屈曲位での膝蓋骨に,内外側方へ20Nの負荷を加えた際の変位量を3回測定、その平均値を代表値とし,その値を膝蓋骨幅で補正した値(Patella mobility index:PMI)を膝蓋骨可動量とした.また両脚着地時の膝内方変位量は,30cm台からの着地を正面からビデオカメラを使用して撮影し,初接地時の膝蓋骨中心点と最大内方変位時の差を算出した.統計学的処理はPearsonの相関係数を用いて検討し,有意水準は5%未満とした.
- 結果:両脚着地時の膝内方変位量と膝関節伸展位でのPMIには有意な強い正の相関関係(r = 0.654,P < 0.05)が認め,また膝関節30°屈曲位でも有意な正の相関関係(r = 0.364,P < 0.05)が認められた.
- 結論: 両脚着地はACL損傷の好発動作とされ,危険因子のひとつとして膝内方変位量が考えられる(Myer, 2007).本実験の結果から,膝蓋骨可動量,つまり膝蓋大腿関節の弛緩性が,両脚着地時の膝内方変位量に影響を与えており,新たな危険因子となる可能性が示唆された.
- 今後:膝蓋骨内外側への可動量のみではなく,Tiltなどの別方向への可動量を定量的に評価と検証を行い,非接触型ACL損傷の危険因子のひとつである膝内方変位量との関係を検証する.
【文献抄読】
担当:正木
タイトル:A robotic exoskeleton to treat crouch gait from cerebral palsy: Initial kinematic and neuromuscular
evaluation
出典:Lerner et al. Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc. 2016 Aug;2016:2214-2217.
- 目的:本研究の目的は,クラウチ歩行を有する脳性麻痺児において,Robotic Exoskeletonによる膝関節伸展アシストが,歩行中の膝関節屈曲角度および膝関節周囲筋の筋活動に及ぼす効果を検討することとした.
- 方法:対象はクラウチ歩行を有する脳性麻痺児4名とした.通常歩行,Robotic Exoskeletonを使用した歩行中における立脚・遊脚期の膝関節屈曲角度,外側広筋,内側ハムストリングスの筋活動量を算出した.
- 結果:Robotic Exoskeletonを使用した歩行では,立脚期の膝関節屈曲角度,外側広筋の筋活動量が減少し, 立脚・遊脚期の内側ハムストリングスの筋活動量が増加した.
- 結論:Robotic Exoskeletonによる膝関節伸展アシストは,歩行中における立脚期の膝関節屈曲角度,外側広筋の筋活動量を減少させた.今後,長期間使用した後の下肢の運動および筋活動を検討する必要がある.