6/26 勉強会
【研究報告】
担当:犬飼
タイトル:高齢者へのnoise galvanic vestibular stimulationが立位重心動揺に与える影響
- 目的:前庭器官へのnoise galvanic vestibular stimulation(nGVS)は,若年健常者の立位重心動揺を減少させることができる.本研究の目的は,nGVSが高齢者の立位重心動揺に与える影響を検証することである.
- 方法: 対象は,地域在住高齢者32名(Control群,16名;nGVS群,16名)とした.各群の刺激条件は,Control群(Sham刺激,0 mA),nGVS群(ノイズ電流刺激,0.4 mA)とした.刺激前,刺激中の立位重心動揺測定(30秒)を行い,実効値面積,総軌跡長,左右平均移動速度,前後平均移動速度を算出した.
- 結果:nGVS群では刺激前に比べ,刺激中の総軌跡長,左右・前後平均移動速度が有意に減少した.Control群では,刺激前と刺激中で有意差を認めなかった.
- 結論:nGVSは,高齢者の立位重心動揺(総軌跡長,左右・前後平均移動速度)を減少させることが明らかとなった.
【文献抄読】
担当:髙橋
タイトル:Marked decrease of aquaporin-4 protein is independent of the changes in α1-syntrophin and TRPV4 levels in response to denervation-induced muscle atrophy in vivo
出典:Ishido et al. J Muscle Res Cell Motil. 2017. doi: 10.1007/s10974-017-9471-y.
- 目的:本研究の目的は,①神経原生筋萎縮におけるAQP4の生理学的役割,②AQP4/α1-syntrophinとAQP4/TRPV4の関係性を明らかにすることである.
- 方法:8週齢Fishcher雌性ラット12匹を対象とした(Control群・Denervation群;各6匹).処置は坐骨神経切除を施し,2週間後に前脛骨筋を採取した.その後,筋湿重量・筋乾燥重量およびウェスタンブロッティングにより,MHC-F・AQP4・α1-syntrophin・TRPV4のタンパク発現量を計測した.
- 結果:筋湿重量比はDN群で有意に低値を示したが,水分含有量に有意差は認められなかった.MHC-FおよびAQP4はDN群において有意に低値を示したが,α1-syntrophin発現量に有意差は認められず,TRPV4に関してはDN群で有意に高値を示した.
- 結論:除神経を伴う筋萎縮において①AQP4が減少する,②AQP4/α1-syntrophinおよびAQP4/TRPV4の相互作用が失われる可能性が示唆された.