10/3 勉強会

【研究報告】

担当:中川(昌)

タイトル:他動運動時の関節角度および運動方向の違いが運動誘発電位に与える影響

  • 目的:他動運動時の関節角度および運動方向の違いが運動誘発電位(MEP)に与える影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は同意の得られた健常成人14名であった.示指他動運動は2条件に分け,条件1では運動範囲を外転10°から内転30°とし,内転運動時または外転運動時における内外転0°と内転20°位でMEP,F波,M波を計測した.条件2では運動範囲を内転10°から30°とし,内転運動時の内転20°でMEPを計測した.MEPとF波,M波はそれぞれ経頭蓋磁気刺激と末梢電気刺激を用いて右第一背側骨間筋から記録した.
  • 結果:条件1では内転運動時の内外転0°でのみMEP 振幅値が増大したが,条件2では内転20°位でMEP振幅値が有意に増大した.M波F波はいずれの条件においても変化しなかった.
  • 結論:他動運動時のMEP振幅値は,他動運動の方向や関節角度に影響されるのではなく,他動運動開始からの時間に応じて変化している可能性が考えられた.

 

【文献抄読】

担当:早尾

タイトル:Skeletal muscle inflammation following repeated bouts of lengthening contractions in humans

要旨

  • 目的:ヒトの膝伸展運動に対して筋損傷を誘発する運動を反復的に行い,反復試行後の炎症性マーカーを広く評価することを目的とした.
  • 方法:健常成人14名(男性7名,女性7名)を対象に実験を行った.筋損傷を誘発するための伸張性収縮運動(LC)はBIODEXを使用して行った.1回目LCの前日(-1d),1回目LCの2日後(B1+2d),1回目LCの27日後(B1+27d),2回目LCの2日後(B2+2d)で筋生検を行った.各群において炎症性マーカーの計測,蛍光免疫染色を行った.
  • 結果:29のサイトカインのうち3つのみで有意な変化がみられた.IL-4はB1+27d,B2+2dにおいて有意な減少がみられ,IP10とMCP1はB2+2dにおいて有意な増加がみられた.また,CD8+とCD68+はB2+2dにおいて有意な増加がみられた.
  • 結論:本研究ではLCの反復運動後に炎症反応が減少するという仮説を支持しなかった.また,CD8+はLC後の筋の適応において重要な役割を担うことが示唆された.