7/25 勉強会

【研究報告】

担当:中村

タイトル:他動的伸長に伴うハムストリングスに生じる他動的張力の違い―せん断波エラストグラフィーを用いたハムストリングス構成筋間の比較―

要旨

  • 目的:ハムストリングの肉離れに影響する因子を明らかにするため,他動的伸長時にハムストリングスを構成する各筋(半腱様筋,半膜様筋と大腿二頭筋)にかかる受動的な張力の違いや,骨盤の前・後傾が受動的な張力に及ぼす影響を明らかにすることである.
  • 方法:対象は15名の健常若年男性とした.股関節70°屈曲位,膝関節30°屈曲位を基本肢位とし,骨盤を前傾位,中間位,後傾位とした状態で,せん断波エラストグラフィー機能を用いて半腱様筋,半膜様筋と大腿二頭筋の弾性率を測定した.
  • 結果:半膜様筋の弾性率は半腱様筋や大腿二頭筋の弾性率と比較して有意に高値を示した.加えて,骨盤の後傾位と比較して,前傾位の方が有意に弾性率は高値を示した.
  • 結論:他動的に伸長した時,半膜様筋に加わる他動的な張力は半腱様筋や大腿二頭筋と比較して大きく,また骨盤前傾によりハムストリングス全体にかかる他動的張力が増加することが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:浅尾

タイトル:Dissociable contribution of the parietal and frontal cortex to coding movement direction and amplitude

要旨

  • 目的:視角誘導性運動の企画における頭頂間溝内側部(mIPS)と運動前皮質背側部(PMv)の作用の違いを明らかにすること.
  • 方法:対象は健常被験者6名とした.被験者は右手関節でのマニュピュランダム操作による視角誘導性運動を行い,運動の開始直前に左右いずれかのmIPSまたはPMvに閾値上のTMSを行った.
  • 結果:左右のmIPSにTMSを実施した条件では,TMSを実施なし条件と比較して対側への運動方向のエラーが大きかった.また,右側PMvにTMSを実施した条件では,TMSなし条件と比較して運動の大きさのエラーが大きかった.これらの結果は,特定のタイミングでTMSを実施した際にのみ見られた(mIPSでは運動開始の160-100ms前,PMvでは運動開始の100-40ms前).
  • 結論:視角誘導性運動において,mIPSは運動の方向を,PMvは運動の大きさの企画に作用しており,半球やタイミングにより異なる.